24年3月のダイヤ改正から朝夕ラッシュ時の快速と通勤快速の廃止が発表されたJR京葉線。これにより蘇我-東京の上りは平均14分、下りは19分余計にかかることになり、通勤・通学に通勤快速を利用していた沿線住民は大ブーイング。千葉県の熊谷俊人知事も「容認できない」と反発している。
今回の発表に怒っているのは不動産業界も同じだ。実際、京葉線沿線は首都圏でも比較的人気エリアのひとつで、千葉市内ならファミリー向けの新築分譲マンションが3000万円台から購入できる。そのため、物件によっては抽選になることも珍しくないが、「通勤時間が15-20分余計にかかることで今後は京葉線沿線を引っ越し先の候補から外す人は確実に増える」と話すのは大手不動産会社の販売部門担当者だ。
「特に通勤快速停車駅の蘇我をはじめ、快速停車駅の千葉みなと、稲毛海岸、検見川浜、海浜幕張、南船橋といった駅は、ここ数年相場が上がり続けていましたが、新築だけでなく中古マンションの売れ行きも好調でした。しかし今回の発表を受けて、物件の内覧や契約がそのものもキャンセルになったケースが出ています」(不動産会社販売担当)
国土交通省が発表した23年の千葉県全体の住宅地の公示価格の伸び率は前年比プラス2.3%。全都道府県の中でも6番目に高い水準だったが、地価への影響も懸念される。
「ただし、悪いことばかりではありません。各駅しか停まらない幕張豊砂や新習志野、二股新町、市川塩浜は、朝夕の列車の本数が増えるため、これらの駅周辺の物件にはむしろ人気が集まる可能性も考えられますし、むしろそうなってもらわないと困ります」(同)
なお、千葉県や沿線自治体はJR東日本や関係省庁に対し、見直しを求めている。JR側も批判があるのは承知の上だと思うが、その影響は想定以上に大きいようだ。