官房長官就任後、初の記者会見で「パーティー券収入の還流は受けていない」と毅然と言い切った岸田派ナンバー2の林芳正氏(62)。
9月の内閣改造では外相を交代させられ、岸田総理との関係がピリついたが、今回も「第1候補」ではなかった。政治部デスクが解説する。
「外相の一件では、岸田総理と人事の話をしていた時に、麻生太郎副総裁(83)が『林は何にもやっていないじゃないか』と進言。新官房長官を林氏に決めた時も、『何で林なんかにするんだよ』と、声を荒らげたそうです。それで岸田総理が浜田靖一元防衛相(68)と加藤勝信前厚生労働相(68)に断られたと泣きを入れ、麻生副総裁はしぶしぶ納得したようです」
麻生氏にとって犬猿の仲といえば、福岡県政で火花を散らした古賀誠元幹事長(83)だが、その古賀氏を慕っているのが林氏。さらに、盟友の安倍元総理とも林氏は同じ地元の山口県で因縁の関係にあり、何かと癪に障る存在なのだろう。
そんな林氏がキックバック問題で安倍派の松野氏に代わって就任したことで、「安倍派では、親中派林芳正という名前を聞くだけで毛嫌いされ、『反岸田』の動きが加速する」と話す中堅議員もいるくらいだ。
いばらの道が待っている中、林氏も総理への野望を隠していない。21年7月には、そのために26年間務めた参院議員を辞職し、衆議院に鞍替えしている。
“ポスト岸田”レースにも名前が挙がるが「官房長官になったため、自分から行動に移すのは難しく、次の可能性は0%に近い」(山村氏)と、よもやの入閣で出遅れる形になった。
一方、鈴木俊一財務相(70)は大穴的存在だ。
「岸田総理は『増税メガネ』と呼ばれるほど財務省の言いなりでしたが、ここ最近は所得税と住民税の定額減税を押し切り、方針がブレブレで言うことを聞かなくなりました。だったら財務省としてみれば“飼い犬”が総理になった方が政権を掌握しやすい。それで次期総理候補に鈴木氏が浮上。親戚関係の麻生氏も党内で調整に動いているという話も伝わってきます」(政府関係者)
これまで、党役員人事のたびに「幹事長」候補に名前が出てくる常連だったが、背中を押されてトップの座を目指すことになるのか。
(つづく)