元テレビ朝日社員の玉川徹が12月12日、コメンテーターを務める「羽鳥慎一モーニングショー」(同局系)に出演、出演者をヒヤリとさせる発言があった。
番組冒頭、視聴者から寄せられた動物動画のコーナーでは、ユニークな遊び方をする猫を紹介。棒の先にネズミのおもちゃがついた猫の遊び道具があるが、通常は人が棒を持ち、ネズミを猫に近づけて遊ばせるものだ。ところが、動画で紹介された猫は自分で棒の根元をくわえ、先端についたネズミを追いかけるようにして、円を描くようにクルクル回って遊んでいた。
猫が自分で遊ぶ姿は愛くるしかったが、玉川氏は「あんまり回るとバターになるんじゃないかと心配になる」とコメント。すかさずキャスターを務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一が「わかるかな~?」と話をつなげると、アシスタントの同局・森山みなみアナが「わかる」と答えた。羽鳥アナが「何がグルグル回ってバターになるか、わかる?」と突っ込むと、森山アナは「トラです」と見事正解した。
玉川氏が、猫がクルクル回った姿をたとえたのは、絵本の「ちびくろサンボ」。黒人少年のサンボが4頭のトラに襲われるが、その後、トラたちがケンカを始め、ヤシの木の周りを輪になってグルグル回っているうちに溶けてバターになったしまったという話だ。
元となる英国版は1899年、米国では1900年に発刊され、日本では1953年に岩波書店から「ちびくろ・さんぼ」として出版された。世界中で親しまれたが、黒人差別として世界中で抗議の声が強まったことから、1980年代、日本国内でも一斉に絶版となった。その後、再刊行もされているが、一部で過剰な対応・言葉狩りとの批判がありながらも、「ちびくろサンボ」という名前については、放送をはじめとしてメディアではナーバスに取り扱っている。
「玉川氏が何気なく『ちびくろサンボ』に誘導するような発言をしましたが、出演者の対応は見事でした。羽鳥アナの問いかけに、森山アナは『トラ』と答えましたが、彼女を含めて誰も『ちびくろサンボ』とは発言しませんでした。特にこの日、コメンテーターとして出演した弁護士の菊間千乃氏は職業上、喉元まで出ていたタイトルとぐっと飲み込んだのではないでしょうか」(週刊誌記者)
とりわけ、羽鳥アナの振りに如才なく答えた森山アナの冷静さが際だった。
(石田英明)