玉川徹氏の「ウクライナ降伏論」を専門家が論破「日本と一概に比べられない」

 3月3日にウクライナとロシアの2度目の停戦交渉が行われたが、目立った進展が見られないまま、両国の主張は平行線をたどったままだ。3月4日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」でも、「容赦ない戦いを続ける」というプーチン大統領の発言を取り上げ、ウクライナ国内で多くの民間人に死者を出している情勢を伝えた。

 番組に出演した東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は、ウクライナ側の視点から「まったく組織的抵抗もできなくなって本当に降参するしかない、となるまでなんとか粘りたいというウクライナ政府の気持ちはわかる」と述べると、コメンテーターの玉川徹氏は「そこ、どうなのかなと思いますね」と異論をはさんだ。

 玉川氏は反戦デモの話題に触れつつも、ロシア国内の世論調査では支持率が上がっていると指摘。「日本人として過去の経験から言えることは、戦争をですね。長引かせることになればそれだけ犠牲者が増える。たとえば太平洋戦争でもですね、振り返ってみれば、もっと早く降伏すれば、たとえば沖縄戦とかですね、それから広島、長崎の犠牲もなかったんじゃないかっていうふうに思いますよ」と述べて、今後、プーチン大統領指揮のもとで大規模な無差別爆撃が行われる可能性に触れて、「大事なのは国民の命を守ることだと僕は思います」「命を守ることは何よりも大事だと日本人として言いたいと思います」と持論を展開した。

 これを受けてMCの羽鳥慎一アナが「全面降伏した場合、ウクライナにどういうことが起きるんですか」と小泉氏にコメントを求めると、玉川氏のコメントに「(玉川氏の話も)わからなくもないんですけど…」と前置きしてこう反論した。

「日本のケースと一概に比べられないのは、日本の場合、自分で戦争をはじめて結果的にアメリカからものすごい反撃くらったっていう事例ですよね。今回の場合、ウクライナはまったく何の非もないのにロシア側から全面侵攻を受けていて、それに対して『すぐに降伏すべきだ』『早く降伏しておくべきだ』っていうのは道義的にだいぶ問題のある議論だと思います」

 続けて小泉氏は「自分たちが作り上げてきた民主主義を守るために戦うという考えも同時に成り立つと思うんですよね」「降伏したほうがいいんじゃないですか、というふうに気軽には言えない」とコメントした。

「この後、玉川さんは『気軽に言ってるつもりはなくて…』と反論し、火炎瓶で抵抗を試みるウクライナ国民を、竹やりを手にしたかつての日本国民に例えたものの、長嶋一茂氏からも『時代が違う』と一刀両断されていました。たしかに、命は重要ですが、部外者がおいそれと降伏を口にすべきではないのかもしれませんね」(テレビウォッチャー)

 これ以上、犠牲者を増やさないための停戦交渉の進展が待たれる。

(石川ともこ)

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