中国でフェラーリの女性オーナーが急増中! なぜポルシェではダメなのか

 米ブルームバーグは、中国でのフェラーリの新車・中古車購入者のうち、4分の1以上を女性が占めるようになった、という同社関係者の話を報道。さっそく、SNS上には《ついにフェラーリの爆買いが始まったのか!》《不動産の次はフェラーリで利殖?》といった声が続出している。

 フェラーリの年次報告によれば、昨年の中国本土および香港、台湾での販売台数は約1600台。これは5年前と比べて2倍以上で、世界における販売台数の12%を占める。しかも、過去5年間に中国本土で販売されたフェラーリのうち、26%が女性による購入だったことが明らかになったというのである。

「フェラーリを購入する中国人女性は、その多くがテクノロジー業界幹部や不動産関連の起業家、超富裕層などだとされます。フェラーリと言えば、安いクラスでも3000万円以上、人気モデルになれば1億円を超える車種も少なくない。それだけ中国では成功している女性が多いということなのでしょうが、それにしても購入者の4人に1人が女性とは驚きますね」(自動車ジャーナリスト)

 というのも、「日常的に使える高級スポーツカー」と呼ばれるポルシェに対し、フェラーリは「非日常的な高級スポーツカー」と呼ばれることが多い。つまり車好きの間からも、スタイリングではフェラーリが勝っていても、「車としての利用可能範囲と走行性能」を考えれば総合力でポルシェに軍配があがる、という声が多いからだ。

 実際、日本では2021年度のポルシェの新車販売台数は7073台。フェラーリの同1299台に比べて6倍以上で(日本自動車輸入組合の発表より)、スーパーカーとしては断トツの普及率を誇る。生産規模や価格帯の違いはあるが、全体的に機械への信頼性が高く比較的扱いやすいポルシェを選ぶ傾向にあるようだ。
 
 では、なぜ中国では、富裕層の多くの女性がフェラーリに夢中になるのだろうか。中国ウォッチャーが分析する。

「貧富の差が激しく若者の就職難が社会問題になっている中国ですが、とてつもない人口を誇るこの国では、起業して一発当てて億万長者に上り詰めるといったケースは、いまもあります。すると、どうしても成功の証がほしくなる。それが高層マンションであり、一流ブランドの服であり、そして超高級車というわけです。昔からフェラーリは『成功の象徴』とも言われますからね。つまり、高級車の中でも街中で視線を一点に集められるフェラーリでないとダメだということです」

 イタリアのブランドは世界の女性富裕層を魅了してきたが、そのイメージ戦略はクルマにおいても共通しているようだ。

(灯倫太郎)

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