井筒監督×ラサール石井「岸田政権〝返納〞ストレート対談」(2)原爆の地に首脳を集めて何もやらなかった

井筒 マイナカードだけを取っても、今の独裁政権はほんとに最悪よ。自民党の専制独裁では何一つもいい方向に変わらんね。

石井 明治時代の〝帽子かぶってる人が偉い〟みたいなそういう時代に戻したいんですよね。

井筒 ほんまにね。オレは権力というものが物心ついた時から大っ嫌いで。民主主義って本来は大衆が支配することであって権力が支配することじゃないんだもん。ちょっとでも偉そうにしてる奴ら、ちょっとでも自分や我々に従えという、そういう独裁者のいる権力装置の中にいることがウワーっと鳥肌が立つほど嫌で気持ち悪い。今の自民党の独裁支配下にいることの生きにくさ、暮らしにくさを自覚し直さないと人間が腐ってしまうと思ってる。

石井 僕が返納運動してたら、長崎県の平戸市長がリツイートしてきて、「ラ・サールで習わなかったんですか? 民主主義は多数決なんですよ。いくら言っても少数の意見は負け犬の遠吠えなんですよ」と言ってくるわけですよ。

井筒 何じゃそりゃ。ふざけたこと言う奴やね!

石井 だから、あなた市長でしょ? と。あなたは市民の声なき声を聞かないんですか。少数の意見を拾い上げてこその市長でしょ!と返したら何も言ってこなかった(笑)。

-独裁という意味では、世襲議員が多いことも相変わらず問題になってます。

石井 世襲は本当に禁止した方がいい。能力がないのに親が議員という理由だけで議員やってんだから。

井筒 安倍一族に始まり、岸田も河野も結局それやから。岸田の息子もクビになったけど、安倍の弟の息子、あれ何だっけ?

石井 あっ、岸信夫の息子の信千世ね。

井筒 それそれ。HPに家系図載っけてたバカ息子。あれも父親が引退する時にここらで息子に譲るとかヌカしてたんだよな。

石井 お前は領主か!

井筒 江戸時代からこのシステムが変わってない。議員になると城主か殿様にでもなった気でいるのよ。そんなガキの頃から権力を持てると勘違いしてるような奴らが庶民のために汗水垂らすわけないし、少数者や貧しい若者を救えるわけもない。ロクなもんじゃないよ!

石井 とにかく50年後、100年後の日本のことを考えてる政治家や官僚なんていないですよ。自分たちの今の生活と老後、それと天下り先を増やすことしか頭にない。

井筒 岸田の異次元の少子化対策も何も進んでないしな。

石井 あれだって財源がないなんてウソですから。岸田総理は頭が悪いんじゃないかと思うんですよ。

井筒 ははは。早稲田の先輩にそんなこと言われたら無様やね。だけど、ほんまにアホやと思うわ。

石井 海外に30兆円ぐらい寄付してて、今度のこども家庭庁も予算は5兆円なんだけど、5兆あれば給食無償化もできるし、大学無償化だってできるはずなんですよ。これだけ言われてんだから、何か一つぐらいやればいいじゃん。だけど何もやらないんだよ!

井筒 アメリカと御用官僚の言うことしか「聞く力」がないからな。うなずくだけやろ。だから防衛費倍増、増税しか言えないんだ。

石井 ほんとにその通り。

-結局、岸田政権は何点だと思いますか?

石井 う~ん、赤点は赤点でしょう。0点かな(笑)。

井筒 岸田はわざわざ出身地でもある広島の原爆の場所にサミットで各国の偉いさんを集めたわけでしょ。なのに何もしてない時点で完全にゼロ点だよ!

石井 ゼレンスキー大統領のところに広島の必勝しゃもじを持って行ってるんですよ。戦争してる片方に、平和宣言してる日本の総理大臣が「必勝」っておかしいでしょ。向こうだってしゃもじ持って来られても困るし。

井筒 もう戦争やめようやと、しゃもじで頭をパン!と叩くならわかるけどね。

石井 サミットの議長をするなら、せめて核兵器禁止条約に批准するとかね。

井筒 今日まで黙ってたけど、オレは皆さんのいる前でこうしようと思ってまんねん。今日はバイデンがおろうがゼレンスキーがおろうがサインするで。広島でオレがするんやから、皆もサインしてくれんとオレもカッコつかんわと。岸田、そのぐらいやれよ!

-それをやってたら何点もらえますか?

井筒 それでやっと1点やね(笑)。奴は腹にさらし巻いて政治してないから。

石井 だけど、自民党がダメだからといって維新という選択もないですよ。それは地震が来て屋上から飛び降りるようなものです。

井筒 あんな政党は自民と何も変わらんし、自分たちは第2自民党で、共産党はいらんと平気でヌカす連中やからね。あげくにクソ万博でしょ!

石井 クソ万博ですっ! でも、これがちょっと失敗しそうだから見もので。参加国が自分たちで設計して建てるAプランというやつで、ゼネコンからの建築申請がゼロだったことは報道されてましたけど、今の時点ではっきり決まってるのが日本館だけなんですよ。

井筒 ドアホな話やな!

石井 ポツンと一軒家かと思いましたよ(笑)。それを知ってたはずの吉村知事は国家プロジェクトみたいなことを言い出してるし、こりゃ失敗しても維新は責任取らないんだろうなと。

井筒 結局、税金が投入されるんやろ。間に合わないから、主催者が政府に突貫工事の時間外労働を認めろとかメチャクチャなことヌカしてたし、最悪の始末になるだろうな!

石井 もう日本は万博やオリンピックをやるような豊かな国じゃないんです。

-話は尽きませんが、そろそろお時間が来ました!

井筒 石井ちゃんとは毎週でも話したいよ。今度は映画の話もしたいねえ。

石井 僕はゴジラが好きなんですよ。だから監督には一周まわって怪獣映画を撮ってほしいと思ってます。

井筒 この際、宇宙大怪獣ギララでも出して国会議事堂を潰すか、万博を破壊しまくる怪獣でも撮るか!

石井 炎上上等でいきましょう!(笑)

ラサール石井:1955年、大阪府出身。名門進学校のラ・サール高校から早稲田大学へ進学。劇団テアトル・エコーの養成所で出会った渡辺正行、小宮孝泰と「コント赤信号」を結成。数々のクイズ番組で優勝するほか、声優、俳優など幅広いジャンルで活躍している。

井筒和幸:1952年、奈良県出身。1975年、ピンク映画「ゆけゆけマイトガイ 性春の悶々」で監督デビュー。その後、ピンク映画から一般映画へ。「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS」「ゲロッパ!」「パッチギ!」「黄金を抱いて翔べ」「無頼」など問題作多数。

週刊アサヒ芸能8月14・24日号掲載

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