新型コロナウイルスの感染拡大によって急激に普及したテレワーク。しかし、新型コロナが5類に移行するなど落ち着きを見せる中、多くの大企業は全員出社が理想と考えていることが明らかとなった。結局、日本ではテレワークは定着しないのだろうか?
日本政策投資銀行が3日に発表した「2023年度設備投資計画調査」によると、大企業に理想的な出社率を訪ねたところ、10割出社が32%で最多となった。昨年よりも12ポイント上昇しており、9割出社、8割出社と回答した大企業も昨年を上回っている。その一方で、完全リモートとなる0割出社を希望する大企業は1社もなくなり、完全な0となっている。
日経BP総合研究所イノベーションICTラボが今年4月に実施した「働き方改革に関する動向・意識調査」では、週3日以上テレワークした人は32.6%となり、最多だった20年4月の63.9%からほぼ半減していることがわかっている。また、今年6月に株式会社AZWAYが発表したリモートワークに関するアンケートによると、「今後もリモートワークを続けたい」と回答した人が10代〜60代以上まですべての年代で75%超となっており、やはり社員というより企業の意向によってリモートワークを続けられないのが現状のようだ。
「コロナ禍に多くの企業がテレワークを導入し、向き不向きがある中で、向いていないと考える企業が多かったとみられます。課題としては、コミュニケーションを取ることの難しさや社員の勤務実態が見えづらいこと、情報セキュリティの不安などが挙げられています。ただ、コロナの沈静化でテレワークを取りやめているのは日本だけではありません。昨年6月に大手電気自動車メーカーであるテスラのイーロン・マスクCEOが従業員に40時間以上のオフィス勤務を求めたメールを送ったことが話題になりましたが、アメリカでも脱テレワークする企業が増えていて、ゴールドマン・サックスやネットフリックスといった企業は完全出社が基本となっているのです」(経済ジャーナリスト)
今後はさらにテレワーク実施率が下がっていきそうだ。