忘れた頃に災難は降りかかる‥‥。日本医師会が「第9波になっている」と述べた新型コロナウイルスや、今年前半に全国各地で起こった中規模以上の地震。下半期に起こりうる災厄・災害のリスクを専門家が鋭く分析する。
最近、沖縄を中心に九州地方でコロナが流行し、人々をザワつかせている。医療ガバナンス研究所理事長・上昌弘氏が話す。
「コロナも4年目に入り、春は小さな流行、夏冬に大きな流行とわかってきた。ですから、今年の夏に流行するのも当然です。そもそも沖縄の流行(1週間で9000人超)が取りざたされていますが、札幌市が行った下水サーベランス(下水に排出された糞便などから流行状況を監視する)でも第8波と横ばいの状況が確認されている。つまり、インフルエンザ同様、季節性で流行しているのです」
要するに「5類移行」うんぬんは関係なく、今でもコロナ禍は続いているということだ。
「コロナのリスクは高齢者の一部が重症化すること。そして、新しい問題として後遺症の問題があります。この後遺症については、まだ世界でもわかっていない。ただ、インフルエンザと違い、かなり長期にわたって感染することがわかってきた。最長で500日以上感染が続いたという報告もあります」(上氏)
500日の感染状態というのは、さすがにインフルエンザではみられなかった事態だ。
「それだけに警戒をするのは当たり前で、学級閉鎖もありうるし、病院では院内感染を恐れて厳格に対応していく。これは法律(コロナ5類移行)があろうがなかろうが、です。結論を言えば、この夏冬はある程度(コロナ感染で)混乱すると思います」(上氏)
その一方でコロナによる死亡者数は激減しており、過度に恐れる必要はないのだが、
「普通の生活を送るためにも、高齢者や基礎疾患のある人は、変異株対応のワクチンを打たなくてはいけません。この冬にはそのワクチンをファイザーかモデルナが開発すると言われています」(上氏)
厚労省はファイザー製に一本化する動きを見せているが、その選択肢は国民にも与えるべきだろう。
もう一つ、気になる災厄が地震だ。地震前兆研究家・百瀬直也氏が解説する。
「一番の注目点は『黒潮大蛇行』の動向です。黒潮大蛇行は潮位が上がることで海水の重みが増し、南海トラフ地震を抑え込む効果がある。ジャムスティック(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の最新予測では、8月下旬までは黒潮大蛇行は続くだろう、ということですが、逆に言えば、これが終わった直後が要注意。抑え込まれていた反動が大地震につながる恐れもあります」
ことがことだけに、細心の注意が必要だ。
「もう1つ、今年は震度5弱以上の地震が8回あり、そのうち7回は能登を含めた東日本に集中している。これはカリフォルニアで起きた地震など、環太平洋地震プレートも取りざたされおり、特に該当地域は留意しておく必要があると思います」(百瀬氏)
地震予知の難しさは周知のことだが、もしもの時のための対策は、怠らないように。