猪瀬直樹「五輪汚職?俺は森喜朗に追い出されたんです」/ テリー伊藤対談(3)

テリー ちょっと話は変わりますけど、今、東京五輪の贈収賄や談合事件で逮捕者が出てますよね。何ですか、あれ。もし猪瀬さんが都知事でも、こんなことが起きたの?

猪瀬 いや、起きない。簡単に言うと、俺は森喜朗に追い出されたんですよ。

テリー 何で?

猪瀬 9月8日(2013年)に招致が成功したでしょう。その時に、それまでの招致委員会が組織委員会に切り替わるわけね。そのタイミングで予算の無駄とか、必ずいろいろ出てくるはずだから、俺は先回りして「組織委員会の会長を誰にするか」ということを考えた。そして実際にトヨタ名誉会長の張富士夫さんに決めたの。

テリー へぇ、そうなんだ。

猪瀬 張さんは日本体育協会(当時)の会長だし、世界一ケチなトヨタの会長だから。で、赤坂にお呼びして、頭下げて、「ぜひ組織委員会の会長をやってください」ってお願いしたら、「まあ、いいだろう」みたいな返事で、そこまで話を詰めて、俺が組織図を作ったわけですよ。CFO(最高財務責任者)も外資系にすると。外資系っていうのは、そういうところすごく厳密で、少しでも予算をオーバーしたら責任者はクビだから。

テリー なるほど。

猪瀬 そしたら、その組織図が漏れちゃった。

テリー えっ、何で?

猪瀬 漏れちゃうんですよ、そういうのは。それで、森喜朗が安倍官邸に駆け込んで、「俺が会長になるんだ」「そもそも東京オリンピックをやろうと石原慎太郎に働きかけたのは俺なんだ」ということで、猪瀬攻撃をいろいろ始めるわけね。

テリー じゃあ、やっぱり猪瀬さんが考えたその組織委員会だったら、こんなことは起きなかったんだ。

猪瀬 会長が張さんだったら、常に情報公開をしてるよね。それから民間会社の民間人でしょう。ということは、やっぱり民間人のやり方で、それは競争入札をやったり、きちんとやるんですよ。

テリー 組織委員会のトップだった高橋治之は電通上がりじゃないですか。森さんは「あれだけのことを全部頼めるのは電通しかいなかった」みたいなことを言ってて、結局丸投げだったんですよね?

猪瀬 電通がそういうノウハウを持ってるのは事実だと思いますよ。だけど僕は、知事を辞めた後に常に「組織委員会は情報公開をしてないじゃないか」って言い続けた。電通が仕切ったとしても、きちんと情報公開をしていれば、こんなことにはならなかった。

テリー でも今のところ、森さんに捜査の手が伸びるようなことはなさそうだよね。

猪瀬 それが今回、すごく残念だと思ってるんですよ。元総理だから、どこかで忖度があったんだと思うけど。

(つづく)

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