社会学者の古市憲寿氏が2月6日、SPキャスターを務める情報番組「めざまし8」(フジテレビ系)に出演。日本のカレーが「世界伝統料理ランキング」1位に選ばれたことに苦言を呈した。
ブルガリアの体験型旅行サイト「テイスト・アトラス」は2022年12月、「世界の伝統料理ランキング」を発表。日本のカレーが1位を獲得した。しかし、カレーの本場といえば、真っ先に思い浮かぶのがインドだ。
「もともとインドでは、カレーはスパイス料理の総称です。一方、日本のカレーは小麦粉の入ったカレールーを使用するのが特徴。インドと日本のカレーは別物として考えたほうがいいでしょう」(フードライター)
では、日本独自のカレーは伝統食といえるのか。
番組では、日本カレー協議会会長の一条もんこ氏に取材。一条氏は「日本のカレーはすごく歴史が長く、200年以上の歴史を経て国民食になっていった。カレールー、レトルトカレーも日本人が生み出したもの。そういう意味では、カレー文化自体は日本人がつくってきた伝統料理と言い切ってもいい」と話した。
ちなみにハウス食品のHPによると、イギリスからカレーパウダーが伝わったのは1870年頃。1905年に日本で初めてカレー粉の製造・販売がスタートしたという。
カレーが伝統料理か否かについて、メインキャスターを務める俳優の谷原章介は「近年といっても数十年前、数十年前に入ってきたものを伝統と言っていいのか、なんとも言いづらいとこですけども」とコメント。なぜか、カレーの歴史が〝数十年前〟のことになってしまった。
しかし、谷原の〝迷言・珍言〟は珍しくない。それをわかってのことか、古市氏は「伝統という言葉がよくないですよね。どんなに歴史を遡っても日本のカレーって、開国前後だから200年弱の歴史しかない」と伝統料理であることに異議を唱え、何事もなかったかのようにカレーの歴史を訂正。続けてこう私見を述べた。
「(日本のカレーが)進化してきたとはいえ、インドからしたら4000年、5000年と言い張れるわけじゃないですか。もちろん(インドとは)別物だとは思いますが、なんか伝統と言い張るのは違うのかなって」
前出・フードライターが言う。
「カレーが世界伝統料理で1位になったことは喜ばしいことですが、古市氏の指摘通り、日本古来の伝統料理かといえば、肯定しにくいものがあります。たとえば、米国で考案された寿司のカリフォルニアロール、フランスで人気の焼き鳥などが伝統食として世界的に認知されたら、日本人はやはり納得できないはずです」
伝統であってもなくても、美味しさには変わりない。
(石田英明)