北朝鮮「ミサイル乱発」の裏で金正恩にひたひたと忍び寄る「斬首作戦」【AsageiBiz2022年BEST】

 今年に入って錯乱したようにミサイルを打ちまくっている北朝鮮だが、それを金正恩総書記の「焦り」だと指摘したのがこの記事。米韓軍事演習のさなか、両国の特殊部隊の実力を伝えた11月4日配信記事は大きな反響を呼んだ――。

 11月3日朝に続いて、夜にも4回目の弾道ミサイルを発射したと思われる北朝鮮。海上保安庁は航行する船舶に対し、落下物発見の際は近づくことなく通報するよう呼びかけているが、

「今年に入り北朝鮮による、日本海に向けたミサイルの発射は50発以上。特に日本海で米空母ロナルド・レーガンが参加した米韓合同演習中(9月25日〜10月14日)には、計15発の弾道ミサイルが発射され、先月31日から始まった米韓軍の大規模合同訓練『ビジラント・ストーム』では、それがさらに激化している。連日の発射を受け、米韓両軍は訓練延長を決定しましたが、両者ともに一歩も引く構えがないことから、一触即発状態が続くと考えられます」(軍事ジャーナリスト)

 北朝鮮による連日のミサイル発射はビジラント・ストームへの対抗措置であることは言うまでもない。しかし、はたしてそれだけなのか。前出の軍事ジャーナリストは、「韓国国防筋からの情報」として、こう語る。

「ビジラント・ストームは、2015年に米韓両国により策定された『作戦計画5015』に基づき実施されていた空軍主体の合同演習を、名称を変更して復活させたものです。17年12月、北朝鮮による6回目の核実験と、長距離弾道ミサイルの発射を受け、米韓8つの空軍基地からF-22×6機、F-35A×6機、F-35B×12機の計24機のステルス戦闘機、超音速戦略爆撃機(B-1B)2機、加えて230機の作戦機と1万2000人の兵員が動員され、最大規模で実施されましたが、今回はそれを上回る規模だとされています。そして、この“空軍主体の演習”こそが、金総書記にとって最大の脅威となっているようです」

 というのも、今回の演習で使われている垂直離着陸が可能なF-35Bは空母から使えるうえ、レーダーを無力化させ、地対空ミサイル攻撃を妨害、さらには防空網をかいくぐるEA‐18Growlerのほか、地下60メートルまで攻撃可能なGBU-57という強力な爆弾を搭載。これらの爆弾だけで平壌の指揮所や地下要塞、核ミサイル基地を焦土化できる威力があるというのだ。

「つまり、地上に降り立つまでもなく、空から『斬首作戦』が決行できるということ。しかも、先月30日の軍司令部発表によれば、前日の29日には京畿道平沢市にある米軍基地で『チークナイフ』という訓練が行われたとのこと。これは、米韓両国の特殊部隊が敵地に潜入し、さまざまなミッションを遂行することを目的とした訓練です。今回は米空軍の特殊作戦飛行団などが投入され、夜間に行われたようですが、この訓練の原型になっているのが、米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの『チーム6』。米軍最強のエリート集団とも言われ、2011年に隠れ家に潜むオサマ・ビンラディンを奇襲、殺害したことで知られています。つまり、バイデン大統領が指令を下せば、彼らがネットワークを駆使し、即座にターゲットの居場所を確認、ミッションが発動されることになります。おそらく、金氏はそれに恐怖を覚えているのでしょう。その焦りがミサイルの連続発射に繋がっているとも考えられます」(同)

 武力による挑発がこれ以上エスカレートしないことを願うばかりだ。

(灯倫太郎)

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