すでに一部の国を除き、コロナ前と同じように海外渡航ができる状況になりつつある。だが、原油相場の上昇に伴い、航空券の価格は世界的に高騰。8月、業界団体「グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)」は、今年の航空運賃が前年比48.5%増との予測を発表している。
日本の場合、国内線は国際線ほど高騰していないが、それでも航空各社は今年に入って値上げを実施。そうした中、10月中旬にネット上で「ANAの予約サイト、アプリで使える航空券が安く買える裏ワザ」なる情報が拡散。やり方も簡単で正規運賃のFLEX運賃より25%前後も安くなるというのだ。
「方法は公式サイト、またはアプリの都市名を海外に、言語を英語にそれぞれ設定するだけ。これだけで『ANA Discover JAPAN Fare』(以下、ディスカバー割)という割引運賃で買うことができます」(旅行誌編集者)
もともとこれは海外居住者向けのキャンペーン運賃(※23年10月28日出発分まで)。一応、心配だったのでANAに問い合わせてみたが、「日本国内に住んでいる方もご購入いただけます」とのことだった。
この割引運賃で購入できるのは出発3日前まで。価格は予約時期に加え、為替レートによっても頻繁に変動する。試しに31日の羽田−札幌の片道を調べると、27日16時30分時点のディスカバー割は最安199ドル(※同日レート換算で2万9026円)。FLEX運賃(3万9840円)より1万814円安かった。
しかし、ANAでは出発前日まで購入可能な「バリュー運賃」もあり、最安2万8740円とこちらのほうがお得であることが判明。
続いて、羽田−那覇も同じ31日のディスカバー割が片道239.5ドル(3万4933円)なのに対し、バリュー運賃はもっとも安い便で2万4610円。オフシーズンの平日で空席が多いためなのか、出発数日前でも運賃が安く設定されていたようだ。
「この結果が示す通り、絶対的に安い運賃ではないんです。出発日や路線によってはお得な場合もありますが、他の割引運賃と比べたうえで判断したほうがいいでしょうね」(同)
覚えておいて損はないが、ネット上で大騒ぎされたほどスゴい裏ワザというわけではなかったようだ。