家具大手のニトリホールディングスは9月30日、2023年4月までにアメリカで展開するすべての店舗を閉店させ、事業撤退すると発表した。日本では35期連続増収増益と向かうところ敵なしのニトリだが、アメリカで成功できなかった理由はどこにあるのだろうか?
「ニトリは12年にニトリUSAを設立して、翌10月にはロサンゼルス郊外に創業者の似鳥昭雄氏の名前からとった『アキホーム(Aki-Home)』を2店舗同時オープンさせました。アメリカ国内での1000店舗展開を目標に、14年にはさらに3店舗を同じくロサンゼルス郊外にオープンさせていきましたが、そこで勢いは失速。18年にはもう1店舗増やしたものの19年までに4店舗が閉店となり、残る2店舗も来年までに閉鎖。完全撤退することになったのです」(情報誌ライター)
アメリカからの撤退理由を白井俊之社長兼COOは「現在の経済下での収益性改善が難しく、今後有望な市場と捉える東アジア・東南アジア地域への資金・人材の再配置のため、米国事業の撤退を決定した」と説明しているが、ロサンゼルスに住む日本人からは「アキホームは知名度がなく、置いてある商品にオリジナリティもなかった」といった指摘も出ている。
「ニトリがアメリカで太刀打ちできなかったのは、『ウォルマート』や『ターゲット』など強力なライバルが多く、特に世界一の激戦区とも言われるロサンゼルスを出店先に選んでしまったことが原因と思われます。アキホームはオープン当初から集客にかなり苦労していたとされ、値引き販売を行わざるを得ない状況に輸入関税や新型コロナウイルス、輸送費の高騰が追い打ちをかけ、収益化のめどが立たなくなってしまった。日本では圧倒的知名度を誇るニトリですが、アメリカだけでなく中国などでも知名度は低く、海外事業は苦戦が続いています」(経済ジャーナリスト)
昭雄氏は再度アメリカに挑戦する意思を示しているが、果たして勝算はあるのだろうか?
(小林洋三)