ニトリホールディングス(HD)の似鳥昭雄会長は、6月25日の決算発表会見で、アパレル業界で良い企業があればM&A(企業の合併や買収)を積極的に行うとの考えを明らかにし、同業界に本格参入する意欲を示した。「ニトリ」がアパレルに本腰を入れて乗り出せば、「ユニクロ」の強力なライバルになると予想する声もある。
「ニトリHDは同日発表した2020年3〜5月期の連結決算の純利益が前年同期比25.4%増の255億1900万円と過去最高を記録するなど、コロナ禍にあっても絶好調を維持しています。しかし、40期連続の増収増益を目標に掲げる同社は、現在のインテリア雑貨の販売だけでは限界があると考えており、次の一手として似鳥会長はアパレル事業への参入を模索していたのです」(経済ジャーナリスト)
なお、ニトリはすでに「N+」という中価格帯の服を扱う自社ブランドを展開させているが、似鳥会長は「安くない買い物は楽しくない」をモットーにしていることから、M&Aによって、100〜200店規模の衣料品チェーンをたちあげて低価格帯の商品を投入すると見られている。
「もし、ニトリがアパレルチェーンを買収すれば、商品の企画から製造、物流、プロモーション、販売までを一貫して行うことが可能なことから、ユニクロとも良い勝負が出来るのでは。また、ニトリはすでに国内に約550の店舗を持つことから、その販売網を活用することにより、ファストファッション界に一大旋風を巻き起こすかもしれません」(前出・経済ジャーナリスト)
ユニクロの存在を脅かすのは、「ワークマン」ではなくニトリなのかもしれない。
(小林洋三)