5月17日、ニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所に、ハンバーガーチェーン「マクドナルド」と「ウェンディーズ」のハンバーガーのパティについて“広告のものよりも小さい”との集団訴訟が提訴された。
マクドナルドとウェンディーズを提訴した原告によれば、両社の「ほとんどすべてのメニュー」で不誠実で誤解を招く広告が制作されているといい、広告ではフードスタイリストが生焼けのパティを使うことで商品を15〜25%大きく見せていると指摘。これにより、消費者は金銭的な損害を受けているとして、被害を受けた顧客へ5000万ドル(約64億円)の損害賠償を求めている。
今年3月には、同じくアメリカで3位のシェアを誇るハンバーガーチェーン「バーガーキング」も、17年以降の広告で「ワッパー」のサイズを「実物よりも約35%大きく表示し、倍以上のパティがあるように見せかけている」と提訴されたばかりだが、なぜ今、アメリカではこうした訴訟が増えているのだろうか?
「コロナ禍のアメリカでは貧富の差がますます開き貧困率も上昇しているため、そのコロナ禍でも絶好調だったハンバーガーチェーンがターゲットとして狙われているのではないでしょうか。誇大広告だからといって64億円の損害賠償が認められるとはとても思えませんが、訴えた側は『コロナ禍で荒稼ぎしてるハンバーガーチェーンは広告で消費者を欺き、損害を与えている』と貧困層に共感させ有利な条件で和解することができると考えているのかもしれません。相次ぐ訴訟の影響で、ハンバーガーチェーンではなるべく実物に近い商品が広告に使われるようになるかもしれませんね」(アメリカ事情に詳しいジャーナリスト)
訴訟大国のアメリカらしい訴えとも言えるが、日本人はむしろ広告表示に大人しすぎるのかも?
(小林洋三)