そして現在、200匹以上いるメダカは今後も増え続けるが、繁殖ノウハウをどうやってビジネスへと転換するべきか。通常、メダカ販売業者はライバルに秘訣を教えたがらないが、浜松市にある「メダカ屋・猫飯(ねこまんま)」の店長を務める池谷雄二氏はこう答えてくれた。
「メダカは鑑賞魚の中では水温の変化に強く、繁殖がとても簡単です。人気のある品種を購入して繁殖、販売するだけでいいし、割と短期間で本業になることも。インスタグラムでもメダカ関連のアカウントがとても多くなりましたし、各地でメダカのイベントも盛んですから、販売PRはしやすくなっています」
これからメダカ繁殖に挑戦する初心者に向けて、こんなアドバイアスも。
「最も手っ取り早いのは、人気のある品種を購入して繁殖させること。それを卵や稚魚、成魚で販売するのがいいと思います。オリジナルの改良種を生み出すのは知識がないと難しく、よくメダカの品種改良や『オリジナル品種』と謳っている人がいますが、同じ品種で名前を変えただけ。意図的に品種改良するスキルを持った人は、日本に5人程度しかいません」
つまり、ヤフオクなどで売られている人気の品種をリサーチし、買って殖やすだけ。犬猫のブリーダーのような資格は不要で、庭のような広いスペースがなくても大丈夫。特殊な機材も必要としないため、初期費用を低く抑えられるのも人気の理由なのだ。
おまけに記者の自宅には、「深海」の通称で知られる青メダカという名の改良種がいる。透き通った体に青い鼓膜が浮かび上がる美しい品種だ。
これ以外にも紅白模様、ぶち模様、ゴールドやメタリックシルバーといったタイプを買い増しして、同じ水槽に入れてみようと考えている。5月からの繁殖期には1日30個ほどの卵を産んでくれるだろう。
留意する点は、時折、水を交換すること。日光にたまに当ててあげることだ。そして産んだ卵や針子を即座に別の容器に分けることさえ気をつければ、冒頭の加藤さんのように、副業月収20万円は現実的な話なのだ。
前出の池谷氏に買い取りの現状について聞いてみたところ、メダカ業者や熱帯魚屋に稚魚や成魚の買い取りを持ちかけるのもアリだという。
芸能界に広まるブームも追い風だ。昨年2月に木村拓哉がSNSで飼育を公表したメダカは「幹之(みきゆき)」の一種で、背のラインに金属的な光を湛えているのが特徴。ヤフオクでは、20匹5000円台で取引されていた。
メダカの体色は朱赤、白、黒と様々。目の大小やヒレの形も多種ある。比較的安価な品種であっても、誰も見たことがない新種が生まれる可能性はある。それらにオリジナルネームと高値をつけて売りまくれば、メダカ御殿も夢ではないのである。
*「週刊アサヒ芸能」4月14日号より