所得税などの確定申告が今月16日から始まるが、個人事業主だけでなく、サラリーマンでも確定申告すれば所得税・住民税が減額されることで知られるのが医療費控除だ。
医療費控除は、納税者本人と生計をともにする家族の医療費を多く支払った場合、その年の所得税が軽減されるというもので、医療費として認められるのは診察料や入院費のほか、薬代、通院にかかったバス・電車の運賃、また治療を受けるために必要な松葉杖やコルセットなどの器具代金も含まれる。
「納税者本人と生計を共にする家族が保険に加入している場合は、保険金などで補填された分を差し引いて10万円以上(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%以上)の医療費が控除の対象で、控除を受けるには確定申告が必要となります」(ファイナンシャルプランナー)
一般的にはあまり知られていないが、温泉を利用した「湯治」療養も医療費控除の対象になる場合があるという。
「湯治とは周知のとおり、温泉宿などに長期間滞在し、温泉の効能を利用して病気・けがの療養、体調不良の改善、健康増進を図ること。ただ、療養が目的とはいえ、普通に温泉を利用しただけでは社会保険や国民健康保険が使えないため、その費用が医療費控除の対象になることはありません。ところが例外として、医師から『温泉療養指示書』を出してもらい、厚労省が認定した温泉利用型健康増進施設を利用した場合に限り、施設の利用料金や施設までの往復交通費などが、医療費控除の対象となるのです」(同)
厚生労働省のHPによれば、現在、温泉利用型健康増進施設は、全国で19カ所。大半が日帰りだが、宿泊可能な施設もある。施設には温泉を利用した各種の入浴設備とトレーニングジムやプールなどがあり、一般社団法人日本健康開発財団によって認定された温泉利用指導者資格を持ったスタッフが常勤し、入浴指導を行っているという。
施設を利用するためには、まずは医師に相談。認められれば、およそ1カ月以内に7日以上の利用(通算可)が必要となり、指導料などがかかる場合は、指導料も控除の対象となるそうだ。
「確定申告を行う際、領収証や温泉療養証明書の提示や提出が求められる場合があるので、必要書類は必ず保管しておくこと。施設の場所が少なく、対象になる人は限られますが、施設が通える範囲にある場合は医師に相談してみてもいいかもしれません」(同)
興味がある方は一度、厚生労働省のサイトで確認してみてほしい。
(灯倫太郎)