今年こそコロナが終息しますように─。初詣での願掛けもむなしく、世界的に猛威をふるうオミクロン株が日本に本格上陸。感染者が激増する中、世界各国はどのように新変異株と向き合ってきたのか。海外のデータから見えた対オミクロンの処方箋を、ここに公開。正しく恐れて第6波を乗り越えよう。
1月11日、政権発足から100日を指すハネムーン期間を終えた岸田文雄総理(64)は、オミクロン株の襲来という初の難題を抱え、頭を悩ませていた。
「3カ月連続で内閣支持率が上昇する中、岸田総理が最も気にしているのは世論の反応です。1月9日に沖縄、広島、山口の3県で『まん延防止等重点措置』を適用しましたが、国民の反応は『またか‥‥』と批判的な声が多かった。先手を打ったつもりが予想外の状況に岸田総理も驚いていたようで、この先、支持率を気にして判断が鈍らなければいいのですが‥‥」(自民党関係者)
夏には参院選があり、それまで余計な失点はしたくないところ。とはいえ、「聞く力」で国民の顔色ばかり窺っている状況ではなかった。WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は1月12日、前週の1週間にコロナの感染が新たに確認されたのは、世界全体で1500万人を超え、過去最多であることを明らかにしている。
オミクロン株の感染者が日本で初めて確認されたのは昨年11月末。もはやデルタ株からすっかり置き換わりつつあり、厚労省は1月13日、全国の陽性者の84%にオミクロン株の疑いがあると発表した。
いつ誰が感染してもおかしくないが、先に海外で大流行しているだけに、そのデータを元に対応できることがあるだろう。
WHOの報告書によれば、世界の多くの地域で、2〜3日で感染者を倍増させながら猛威をふるうのがオミクロン株。1月10日にはアメリカで1日あたりの新規感染者が140万人を記録したが、日本も二の舞になるのか。医師で「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか」(毎日新聞出版)の著書がある、医療ガバナンス研究所・上昌広理事長は、パニックになる必要はないとして、こう諭す。
「感染力はデルタ株の3倍から5倍とされ、世界中で急速に広まっています。ただ、アジアの増え方は欧米に比べると桁違いに少ないんです。イギリスのオックスフォード大学がデータベースを作っていて、例えば1月11日は、フランスの1日の感染者が人口100万人あたり4206人。それに対し、日本は47人と約100分の1。それは日本に限らず、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、カザフスタン、イラン、イラクなどアジア全体で同じ傾向が見られます。ワクチンの問題ではなくアジアの風土か遺伝子が関係しているのか、まだわかっていませんが、欧米のような感染者数の増え方をすることはないと考えたほうがいい」
世界最悪の感染国になることだけは免れそうだが。
*正しく恐れる「オミクロン」の処方箋【2】につづく