旨いラーメンは食いたいが、行列に並ぶのはイヤだ。そんな人が家に居ながらにして「行列のできるラーメン店」のラーメンを食べられる現実が徐々に広がりつつある。
全国の「行列のできるラーメン店」のラーメンを宅配する国内最大級のラーメンサイト「宅麺.com」が12月14日、年間の人気商品を表彰する「お取り寄せラーメン オブ・ザ・イヤー」を開催。全国でも並み居る有名店が表彰された。
「同サイトを運営するグルメイノベーションは、全国の行列のできるラーメン店のラーメンを自宅で食べられるようにしたいとの思いから2010年に設立された会社です。店のラインナップは今年の12月現在で178店。実際の店舗で提供されているスープと麺、具材がそのまま冷凍されたものを宅配するのを売りとしているので、自宅に居ながらお店で出されるのとほぼ同じものを食べられるという再現性の高さが特徴です」(グルメライター)
今年で11回目の開催となるお取り寄せラーメン・オブ・ザ・イヤーの総合大賞に輝いたのは「雷 北松戸本店」の「雷そば」だった。同店は極太麺に大量のモヤシが載ったいわゆる二郎系の人気店。食べログの評価でも星3.64と高評価。そして新人大賞は「中華蕎麦 とみ田」の「濃厚豚骨醤油ラーメン(TOKYO-X)」で、ラーメンではあるがつけ麺の元祖・大勝軒の系列。食べログだとなんと星3.96! ラーメン大賞は「吉祥寺武蔵屋」の「家系MAX(アジコメアブラオオメカタメノリ多め)」が選ばれ、こちらは家系を東京に根付かせた超有名店。食べログ評価は3.58だ。いずれ劣らぬ錚々たる有名店が名を連ね、その栄冠に輝いている。
言うまでもないが、本来はこれらのラーメンは現地に足を運んで行列に並ばないと味わえない。ところがサイトを通せば宅配されて、自宅で食べることができる。これも、最新の冷凍技術があってこそ。そこにコロナ禍での巣ごもり需要が後押しをして、「宅麺.com」の会員数は昨年3月からの1年間で倍増、12月段階で33万人に達するという。販売数も20年は55万食、今年は74万食が見込まれている。
「その他、業務用製麺メーカーの丸山製麺が展開する、日本各地の有名店のラーメンが冷凍で買える自販機『ヌードルツアーズ』が現在全国58カ所に設置されていたり、日清食品グループがやはり一風堂、すみれといった有名店の宅配を行う宅配ステーションのような『RAMEN EX』を展開するなど、有名店の宅配は複数のチャネルで広がっています」(同)
実は行列のできるラーメン店ほど行列に並ぶ必要がないという、なんとも便利な時代になりつつあるのだ。
(猫間滋)
*写真はイメージです。