東都リーグがナゼ地方遠征!?「カネがかかりすぎる」学生スポーツの過酷な現状

 地方創世は大賛成だが、学生の負担は大丈夫? 東都大学野球連盟が来年の春季リーグの開幕カード(令和4年4月2、3日)を大分県・別大興産スタジアムで開催すると発表した。これまで、同連盟リーグ戦の開幕試合はおもに神宮球場がその舞台とされてきた。「地方進出」は大きな決断であり、改革の狙いとして「地方創生、経済効果、青少年育成」の3つを挙げた。

「また、民間企業がプレミアムパートナーとして同リーグ戦を“応援”していくことになりました。地方開催にもビックリさせられましたが、企業パートナーが入ることも大改革です」(学生野球担当記者)

 東都リーグに限った話ではないが、大学のスポーツリーグ戦を開催する連盟は、加盟校からの“持ち出し”と観戦チケット収益などで運営されている。かといって、運営資金が潤沢にあるわけではない。“企業からの応援”とは具体的にどういうものなのか、来年の春季リーグ戦が近づくにつれて明らかにされていくようだが、「大学スポーツの在り方」について考え直さなければならない時期にきていることは間違いないだろう。

 これは東京六大学の某野球部の話だが、進学後も部活動を続けたいと希望する高校球児を対象とした説明会で、こんなひと言が出たそうだ。

「1年間に掛かる費用? 250万円くらいは覚悟してください」

 学費込みの金額だが、大学のスポーツ部に入れば、一般学生のようにアルバイトはできない。遠征や合宿、寮生活のために納めなければならない費用、部費などがある。球児が学校生活で困らないよう、多少のお小遣いも必要だ。さらに、グラブやバットなどの道具代も掛かる。

 進学のために積み立ててきた学資保険だけではまかなえないので、多くは奨学金制度を利用する。しかし、「それでも足りない」というのが実情だという。銀行などから借り入れをして、卒業と同時に“親子で借金持ち”なんてケースも珍しくない。

 プロ野球の世界に選ばれた球児は、契約金がもらえるが、大多数の学生は就職して、コツコツと大学4年分の借金に追われることなる。

 先の説明会で聞かされた250万円に驚いて野球を続けることを諦めた球児もいれば、準硬式や軟式野球のサークルに転向した者もいる。地方大会が定着すれば、それに憧れて上京する球児も増えるはず。学生スポーツとお金の在り方についても改革を進めるべきだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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