12月8日に宇宙に打ち上げられた前澤友作氏が、20日の昼頃にカザフスタンの平原に着陸して、12日間の宇宙旅行から帰還した。「宇宙なう」で始まった旅路は、帰還後初のツイート「地球なう」で幕を閉じたことになる。
宇宙旅行中はニッポン放送系の「オールナイトニッポン」やYouTubeのヒカキンTVに生出演したりと、一定の話題を提供したものの、最後までどうも盛り上がりに欠けた。日本人の偉業や快挙を手放しで称賛する術を磨きに磨いてきたワイドショーでも、時々のトピックスとしては紹介されたものの、事の大きさほどの話題として取り上げられることはなかった。
今や何でもご意見番のひろゆき氏は、14日に「前澤友作氏『日本人初民間宇宙旅行』もイマイチ盛り上がらないワケ」と題するツイートを投稿。宇宙ビジネスを手掛ける元アマゾンのジェフ・ベゾスやヴァージン・ギャラクティックのリチャード・ブランソンら民間人が既に宇宙に旅立ったことを引き合いに出して、「お金払えば誰でも行けるので目新しく無くなったのではないか」と推測し、「新奇さ不足」説を唱えていた。
一方、何にでも噛み付く玉川徹氏は「嫌味」説だった。9日の「羽鳥慎一モーニングショー」でこの話題が取り上げられると、「私、閉所恐怖症でまったく興味ないです」とことわった上で、「金持ちの道楽見せられてもね」と前澤氏の金満ぶりを揶揄したからだ。
金持ちが宇宙に旅立つのを冷ややかな目で見るという傾向は、洋の東西を問わずあるようで、トム・ハンクスもベゾスから約32億円かかる宇宙旅行に誘われたことを明かして、「高すぎる」と断った事実を打ち明けている。だが意外だったのは、同じく宇宙ビジネスに意欲を燃やすホリエモンこと堀江貴文氏のリアクションだ。
「金さえ払えば誰でも行けるし。達成感はあるかもだけどって感じかな。の、割には時間拘束されるしね」とツイート。宇宙滞在中の前澤氏の様子を見れば、堀江氏の「の、割には」説が一番正しいと思われる場面が散見されていた。
15日、前澤氏はツイッターで「【聖地巡礼】宇宙兄弟の魅力を語ってたら涙腺崩壊しました」とのタイトルのツイートを投稿。マンガ「宇宙兄弟」の27巻を宇宙に持ち込んで再読し、涙を流している写真が「前澤号泣」と書かれてアップされたのだが、これを見たネット民からは《ごめん、それ地球でもできるよね?w》《もうやることなくなった感じか》などと言われてしまった。その後、孫正義氏らに宇宙にいる前澤氏から電話着信があったことがツイッターで明かされた時も、《前澤氏も宇宙から帰ってきたら『やっぱり家が一番』っていうのかな》などと、まるで“ヒマ人”扱いだ。
さらには18日には「宇宙から全員にお金贈り」という企画を発表するや、《宇宙行ってもやることはTwitterとお金配り》とされ、さらにはお金を配ってもらうには専用のアプリをダウンロードして、登録するには電話番号を含めた個人情報を記入する必要があることから、《個人情報集め》とまで言われてもう散々なのだ。
そこで「全員贈りなのでハズレなし」というお金配りについて見てみると、そのサプリは「kifutown」というアプリで、基本情報というところでは個人情報の書き込みを求められる。アプリの運営会社は「ARIGATOBANK」という会社で、株主欄には「前澤友作」とあった。
とりあえず分かったのは、宇宙旅行は感動が大きいということ。そしてかなりヒマな上に、だいたいにおいて人生観が変わったように何かに目覚める……ということはないらしいことだ。
(猫間滋)