「日本球界に行きたい」と思う外国人選手がまた増えるのではないだろうか。
福岡ソフトバンクのニック・マルティネス投手が「米パドレスと契約した」との一報が飛び込んできたのは、現地時間の12月2日のこと。同日は新労使協定を巡るMLB機構と選手会の話し合いが“決裂”し、オーナーサイドが全ての球団業務をストップさせるロックアウトに突入した日でもあった。厳密に言えば、ロックアウト突入は米東部時間・2日14時01分。パドレスが“駆け込み”でマルティネスとの契約をまとめたことになる。
しかし、アメリカの別媒体が「正式な合意はされていない」とマルティネスのパドレス入りを“否定”しているのだ。
「マルティネスがパドレスと契約しようとしているのは本当です。『合意』と報じたのは米スポーツメディアESPNの記者。『これから』と伝えたのは、パドレスの地元紙であるサンディエゴ・ユニオン・トリビューンです。ただ、球団がロックアウト状態なので確認のしようがありません」(在米ライター)
これも、ロックアウトによる影響だろう。「契約の方向」であることは間違いなさそうなので、パドレスにはダルビッシュ有、前阪神のクローザー、ロベルト・スアレス、同じく阪神に在籍したことのあるピアース・ジョンソンと、NPBを経験したピッチャーが4人もいることになる。パ・リーグに詳しいプロ野球解説者によれば、「メジャースカウトがマルティネスをシーズン中盤から視察しており、多いときは10球団もいた」という。
「メジャーではイマイチだったピッチャーがNPBで成長し、MLBに好条件で迎えられるパターンも珍しくなくなりました。パドレスも意識してNPBの外国人投手を獲得しているわけではありませんが、チーム内の評判は良いです」(同)
NPB経験者は調子を落としても、自分で修正できるからだという。
ジョンソンは制球難でメジャーに定着できず、日本に渡った。腕の振りをコンパクトにすることで制球難を克服しており、シーズン中も自身の投球フォームを映像チェックしている。
マルティネスにしても、日本ハムで緩急の配球を学び、ソフトバンクでは甲斐拓也と2カ月連続で月間最優秀バッテリー賞に選ばれたように、クイックモーションの習得にも挑戦した。ダルビッシュの配球論、変化球の精度の高さについては説明するまでもないだろう。マルティネスの契約報道の真偽も気になるが、好成績を残せば、NPBの指導力がさらに注目されるはずだ。
(スポーツライター・飯山満)