MLBロックアウトでも聞こえてきた「ポスト鈴木誠也」はアノ選手

 それでも、鈴木誠也の決意は変わらない。主砲を失う広島東洋カーブも、その決心は聞かされていたようだ。

 新労使協定を巡るMLB機構と同選手会の話し合いは進展が見られず、オーナー側が球団業務の全てをストップさせるロックアウト状態に突入した。「ロックアウトとなった期間は、ポスティングシステムに定められた交渉期限の30日間にはカウントしない」との申し合わせが日米間でされているが、鈴木はロックアウトが解除される時期を代理人に尋ねるなどしているという。

「米球界挑戦の意志がそれだけ固いということです」(スポーツ紙記者)

 その決意は、広島も受け止めている。今秋のドラフト会議で中村健人(トヨタ自動車)、末包昇大(大阪ガス)と社会人野球から2人の外野手を指名したのは、鈴木の喪失に備えるためだろう。

 しかし、鈴木の抜けた穴はそれだけでは埋まらない。かといって、広島は過去、黒田博樹、前田健太らを見送った際にも大掛かりな補強はしていない。

「日本ハムからノンテンダー(自由契約)となった大田泰示を獲得する可能性が高まりました。鈴木と同じ右投げ右打ちで、打撃成績ではかないませんが、『強肩の右翼手』という点では一致します。減額提示でも大田はノーとは言わないでしょう」(球界関係者)

 ノンテンダーを通達された外野手なら、西川遥輝もいる。しかし、西川は左打ちであり、広島には坂倉将吾、林晃汰、西川龍馬など似たタイプの選手も多い。また、西川遥輝は「肩が強くない」という弱点も抱えている。広いマツダスタジアムは再起をはかるには不適当かもしれない。

「大田の巨人帰還を予想する声も聞かれましたが、彼は広島県の出身です。広島を選択したほうが出場機会も増えそう」(同)

 何より“お手頃価格”で獲得できるのが大きい。大田は他の広島選手とタイプが被らないというのだが、気になる点もある。右の大砲タイプの外野手・長野久義はどうなるのだろうか。

(スポーツライター・飯山満)

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