懸念されるのはこの奇抜なスタイルがどこまで選手の間に浸透するかだが、川尻氏は太鼓判を押す。
「練習していないように見えても、実はしっかりやっている。しないでもできちゃうというのが、彼一流のポリシーなんですよ。ああ見えて、実はすごい気遣いができる後輩でね、僕がノーヒットノーランを達成した後に『川尻さん、お祝いしましょう』と東京の店で祝杯を上げてくれたことを今でも覚えています。現役時代は2人でちょくちょく飲みに行ってましたが、裏表がない、そのままの感じの子です。監督になったらどういう形でチームを引っ張って行くか、楽しみにしています」
槙原氏は早くも実戦での采配に胸を躍らせる。
「何をするかわからないということを広めるために、開幕からどんどん動いてくると思う。投手交代の時もマウンドに行くとか、派手に動いてほしいですね」
また、日本ハムこそが新庄劇場の演出にうってつけだと、江本氏は語る。
「もともと日本ハムは七色のユニフォームを導入した球団です。73年に東映フライヤーズから日拓ホームになった時、選手をもり立てるためにユニフォームが日替わりだったことがある。50年近く昔の話で、新庄も知らないだろうけどね。ちなみに毎日ユニフォームが替わるから、選手も用具係も大変だったそうです。歴史上、そんな奇抜なアイデア球団だから、新庄監督も大きく外れた存在ではないでしょう」
振り返れば、選手時代の新庄はカエルやゴレンジャーのコスチューム、ドーム天井から宙吊りで登場するなど、数々のパフォーマンスで世間を驚かせた。監督権限を行使すれば、これ以上のサプライズが飛び出すのは間違いないところだ。
「球団のシーズンチケットが売れに売れているようです。近年の低迷ぶりから『稲葉(篤紀)監督でも人気回復は難しい‥‥』と心配されていましたが、新庄効果で一気に挽回しました」(スポーツ紙デスク)
最後に、江本氏がズバッと斬る。
「今の時点でいい悪いは言えないが、意外にやってくれるのではないかと期待している。それでも本当の判断はシーズンが終わってからでしょう」
新庄といえば95年オフに、
「センスがないから辞めます」
と、突然の引退宣言をして大騒動になったが、監督契約は1年。退路を断った新庄劇場はこれからが見ものだ!
*「週刊アサヒ芸能」11月25日号より