パ・リーグの優勝争いの行方と、「未来」を握っているのは「東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手」。そう言っても、決して過言ではない非常事態が発生した。
目下、パ・リーグの優勝はオリックスと千葉ロッテで争われている。首位ロッテをゲーム差なしでオリックスが追う展開だ(24日終了時点、以下同)。
残り試合数は千葉ロッテが「4」、オリックスは「1」。試合数で千葉ロッテがやや有利だが、オリックスの「残り試合1」がポイントとなりそうなのだ。
「25日、仙台での楽天戦がオリックスの最終試合となります。田中将大投手の先発が予定されています」(スポーツ紙記者)
後半戦に入って、田中はオリンピック・ブレイク以降の9試合に登板しているが、勝ち星はゼロ。今季最後の登板で地元ファンに“意地”を見せて勝利した場合、優勝争いで千葉ロッテを援護射撃したことにもなる。
しかし、オリックスはエース・山本由伸を先発マウンドに送る予定だ。両投手が一歩も譲らない投手戦となる可能性のほうが高い。引き分け試合で終わったときは、どうなるのか? ちょっとややこしいことになりそうだ。
「引き分けた場合のオリックスの勝率は5割5分6厘。千葉ロッテは残り4試合を2勝2敗で同率。最低でも4分け以上でないと優勝には届きません」(前出・同)
オリックスが対田中となる最終戦で引き分け、千葉ロッテが2勝2敗とし、同勝率で並んだとしよう。この場合、両チームの直接対決の成績で優勝が決まるルールになっている。しかし、両チームの直接対決は終了している。10勝10敗5分けなので決着がつかない。これがセ・リーグなら、次に前年度の成績で決めるのだが、パ・リーグは違う。直接対決の次に調べるのは前年度成績ではなく、「交流戦」なのだ。
交流戦の成績を抜いて、勝敗を計算し直すルールになっている。
オリックスは交流戦12勝5敗1分け、千葉ロッテは8勝9敗1分けだ。12勝を喪失するオリックスが泣かされるわけだ。
「パ・リーグは交流戦の勝率が高く、またセ・リーグ各球団との対戦を観客増にもつなげてきました。オリックスが交流戦の勝利数を引かれて優勝を逃すことになれば、『交流戦の試合減反対』でまとまっているパ・リーグ6球団の結束に亀裂が生じるかもしれません」(球界関係者)
オフのオーナー会議で勝率で並んだ際の優勝チームの決め方が議案に上がりそうだ。
田中が山本と投手戦を繰り広げた場合、パ・リーグはルールを見直す可能性も残されている。優勝争いから脱落しても、スターは最後まで“見せてくれる”ということか。
(スポーツライター・飯山満)