騒音・振動を気にしない人向け? 近鉄が「高架下ハウス」を建設

 鉄道の高架下といえば、飲食店などがテナントとして入っているところも見かけるが、あくまでそれは都市部の駅周辺など一部地域のみ。実際にはその多くがデッドスペースとして放置されているのが現状だ。

 そうした中、私鉄大手の近畿日本鉄道が近鉄不動産と共同で、近鉄奈良線・河内花園駅(大阪府東大阪市)東側の高架下で賃貸ガレージハウスの建設工事に着手したと発表。

 ちなみに物件は6棟12戸ですべて2階建て。1階が車やバイクを停められる電動シャッター付きのガレージスペースで、2階がバス・トイレ、キッチンを完備する居住スペースとなっている。

「間取り図を見ると、1階のガレージは車を停めてもまだスペースに余裕があり、趣味のモノを置いたり自分だけのお気に入りの空間にできそうです。ただし、2階の居住スペースはワンルームなので単身者向け。セカンドハウスとして利用したい人にもちょうどいい物件だと思います」(住宅専門誌記者)

 だが、高架下ということで気になるのは騒音や振動。ガード下の飲食店などで電車が通るたびにガタンゴトンという大きな音や揺れを感じた経験のある人も多いだろう。短時間の利用ならそこまで気にならなくても、住むとなれば話は別。ゆっくり休みたいときにも騒音や振動が頻繁にあれば、ストレスが溜まりそうな気もするが……。

「高架下のテナントなどでも築年数の浅いところは騒音対策がしっかりしており、昔からある物件に比べればかなり静かになっています。とはいえ、さすがに閑静な住宅街のような環境とはいえず、揺れはないにしても多少の物音はあるでしょう。ちょっとした騒音でも気になる人には向かないかも。居住用でなくともアトリエや工房のような作業場としての使い方もあり、そういった形でのニーズもあると思います」(同)

 なお、完成は来春の予定で、入居開始時期は2022年4月。今後は近鉄各線でも建設を計画しており、将来はガード下といえば大衆酒場ではなくガレージハウスという時代がやってくるのかもしれない。

(高島昌俊)

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