麻生太郎財務相が閣議後記者会見で、新型コロナウイルス対策の行動制限について「本当にそれが必要で効果があったものなのか」と疑問を呈したのは9月21日のこと。この日、麻生氏は日本の感染症対策に対する認識の甘さを指摘したうえで、「慌てて感染症の大家、本当にこの人が大家かどうか我々は全然分かりませんから、大家と称する方を集められて話を聞いておられるんですけど」と語り、行動制限の必要性を主張する専門家に対して、「『外で飯を食うな』『人に会うな』などの制限をいつまでされるおつもりなのか、その根拠はなんなのか。本当にそれが必要で効果があったものなのか。私にはなんとなくちょっと違うんじゃないかな、という感じはしますけど」と続けた。
もはや麻生氏の暴言には慣れっこになっている感もあるが、今回の発言にもSNS上では《副総理という立場なのだから、意味のない活動制限をさせていた麻生さんには大きな責任がある。人ごとみたいな言い方はやめて欲しい》《行動制限を提言してるのは専門家だけど、決定したのは政府。効果に疑問に感じるのであれば、内閣の一員としてまずは国民に対して詫びるべき》といった声が殺到。おかげで同日午後には「麻生財務相」がトレンド入りすることに。
さっそく各ワイドショーでも「麻生発言」が取り上げられ、22日のフジテレビ「バイキングMORE」では、MCの坂上忍がこの問題を取り上げ、『お願いだから黙っててくれないと総裁選、衆院選があるわけで。これだけの大物の人だから、発言は響いてきちゃうだから、ちょっといい加減にしてもらわないと」とコメントした。
ところが、この坂上発言に対し、敏感に反応したのがネットユーザーだった。
SNS上には《麻生さんの放言はいつもの事。でも核心をついた発言も多々あり、目くじら立てる程でも無い。それよりかは坂上氏の発言の方が余程「いいから黙ってて」と思うが》《あなたが一番黙っててほしい。コロナの恐怖をここまで煽って拡大させた急先鋒でしょ。その傲慢さには驚きしかありません》といったコメントが散見。さらには《口は悪いが麻生さんの意見は至極真っ当。「適当な予言を信じて国を運営できないから、キチンと論理的な予測を出してください」と言っているだけなのに、何を噛みついてるのやら。こんな意見も出ない偏ったコメンテーターで構成されるバイキングのほうが問題》という厳しい意見も寄せられていた。
政治ジャーナリストが語る。
「コロナが始まってから1年半。政府はこれまで『専門家』と言われる人々の意見を取り入れながら感染対策をしてきたわけですが、なかなかその通りにならなかった。麻生氏としても、だからこそ検証が必要だと言いたかったのでしょうが、ま、いつもの上から目線ですからね。ただ、行動制限で打撃を受けている人がいる以上、はっきりとした成果が求められてることも事実。外食しない、人に会うな等々の制限をいつまで続けるべきなのか。その根拠は何なのか、本当にそれが必要で効果があったのか、きちんと数字で示すべきです」
毎度おなじみの麻生氏の放言騒動だが、これをきっかけに、効果検証の迅速化を期待したいものだ。
(灯倫太郎)