高津ヤクルト、セ界の命運をかけて「トラのお得意サマ」返上へ

 阪神が独走状態を固めつつある。そんなセ・リーグの行方は、東京ヤクルトが巻き返せるかどうかに掛かっているようだ。

「オールスター戦休みまで、あと3週間ほど。各球団の監督は球宴休みを見越して、チャージを掛けるタイミングを見計らっています。先発投手の登板間隔が短くなる、あるいは、リリーフ投手の連投などがそうです」(ベテラン記者)

 そんな球宴前の総力戦が始まろうとしているなか、ヤクルトが注目されている。ヤクルトは首位阪神に対し、1勝7敗1分け(6月25日時点)。この先の巻き返しがなければ「阪神の16年ぶりの優勝」を後方支援したのも同じだ。

「球宴休みまでの日程表を見てみると、阪神有利といわざるを得ません」(同前)

 交流戦明け後、阪神はライバル巨人と対戦し、そのあとに中日、DeNA、ヤクルト、広島と続く。

 しかし、苦手傾向にある中日とは3試合だけで、お得意サマのヤクルトとは3連戦が2回、7勝2敗と相性の良いDeNAとも3連戦が2回組まれている。阪神と計12試合を戦うヤクルト、DeNAが意地を見せなければ、セ・リーグのペナントレースは“事実上の終焉”となってしまうのだ。

「DeNAは交流戦で勝率を上げ、エース今永も帰ってきました。それに対し、ヤクルトの高津臣吾監督は、もうしばらくガマンの采配を続けることになりそう」(プロ野球解説者)

 守護神・石山泰稚の調子が上がらず、二軍再調整となった。代わって昇格してきた大下佑馬だが、ファームでは主にリリーフとして調整してきた。今季からサイドスローに転向し、それがうまく行っているようだが、一軍では未知数だ。

「小川泰弘、田口麗斗らの先発ローテーションの主軸投手が阪神戦で勝てないんです。対戦成績1勝7敗の1勝をあげたのは、サイスニードだけ。サイスニードは6月29日からの甲子園3連戦に投げてくると思われます。サイスニードで勝てなかったら、阪神打線はますます勢いづくでしょう」(同前)

 ヤクルト投手陣は総力戦を仕掛けてでも阪神打線を止めなければならない。ペナントレースが最後まで楽しめるのかどうか、ヤクルト投手陣には“トラのお得意サマ”を返上してもらいたい。

(スポーツライター・飯山満)

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