レイズの地元、フロリダ州セントピーターズバーグ市のファンは一瞬、筒香嘉智選手の名前を思い出したかもしれない。日本時間の6月23日、レッドソックスとの一戦が行われた。注目は、この日にメジャーデビューした内野手のワンダー・フランコ。試合には敗れたが、20歳の天才バッターは「2番三塁」でスタメン起用され、4打数2安打3打点といきなり結果を出してみせた。
「フランコは2017年に獲得した逸材です。ドミニカ共和国の出身で、10代からナショナルチームでも活躍しており、海外フリーエージェント市場において、『日本の大谷か、ドミニカのフランコか』と言われ、人気を二分していました」(在米ライター)
レイズと契約したときは、まだ16歳だった。ルーキーリーグからの育成が始まり、今春の開幕直後から「メジャーデビューも近い」と言われていた。レイズはほかにも有望な若手が何人もいて、世代交代を加速させるため、40人までのメジャー登録枠を空けるため、筒香との契約を打ち切ったのだ。
「初安打が3ランホーマーでした」(同前)
フランコは野球一家で育ったようだ。父親は3Aでプレーしていた野球選手、兄2人もメジャー昇格をめざしており、元レイズのウィリー・レイバー内野手は叔父にあたるそうだ。そんなフランコが「期待の星」として、過去に何度か、野球誌や専門チャンネルの取材を受けていたが、「天性のヒットを打つ才能を持っている。神様が授けてくださった能力」と“自信過剰なコメント”も発していた。
ルーキーリーグではいきなり打率3割5分強をマークし、メジャー昇格を前提に調整していた今年の3Aでも3割強の高打率を残している。強気な発言にも納得だが、「右投げ左打ち」と聞くと、やはり筒香を思い出してしまう。
「筒香との契約は2年でした。フランコが昇格するまでの間、筒香に頑張ってもらう計算だったのでしょう。その筒香との契約を序盤戦で打ち切ったとき、メディアおよび地元ファンはフランコの昇格が近いことを確信しました。筒香の退団後、すぐにフランコを昇格させなかったのは、チームが好調だったからです。今も僅差でレッドソックスとの首位争いを繰り広げており、追撃のプラス戦力として昇格を果たしました」(現地関係者)
ヒット量産、かつパンチ力もある右投げ左打ちの内野手。筒香の不振がビッグマウスの若手のデビューを前倒しさせたということのようだ。
(スポーツライター・飯山満)