ドジャース4番大抜てきでも、筒香嘉智の長引く不振に新説浮上

 ヤンキースのコリー・クルーバー投手が昨季在籍していたレンジャーズ相手にノーヒットノーランを達成した(5月19日/現地時間)。この記録達成には、たくさんの情報が絡んでくる。古巣相手の記録達成というのもそうだが、35歳で近年、稼働率がガクンと落ちていた彼にヤンキースが声を掛けたのは、田中将大の残留交渉に失敗したから。田中が日本帰還を決断しなければ、この記録は生まれなかったのである。

「クルーバーの記録達成に米メディアが驚いています。というのも、前日18日、タイガースのスペンサー・ターンブルもマリナーズ相手にノーヒットノーランを達成しています。2日連続だなんて…」(現地関係者)

 今季のメジャーリーグは記録的な貧打に苦しんでいる。40試合ほどを経過した現在の平均打率は2割3分台で、すでにクルーバー、ターンブルの前にも4投手のノーヒットノーランが達成されているのだ。

「昨季は新型コロナウイルス禍で参考になりませんが、19年は全平均でのチーム打率は2割5分厘。2割3分台というと、1968年までさかのぼらないと前例がありません」(前出・同)

“打撃陣の一斉不振”、思い当たる原因もないわけではない。今季、メジャーリーグは公式球の仕様を微調整している。MLB公式ページによれば、反発係数の上限と下限は従来のボールと変わらないとあるが、2・8グラムほど軽くなっており、375フィート(約114m)以上飛んだ場合、打球は従来のものよりも1~2フィート落ちるとしている。

 1フィートは約30センチ。数値たけを見ると、さほど大きな影響はなさそうだ。

「いや、各球団はボールの乾燥を防ぐ保湿倉庫を設けるなど、ボールの管理にも神経を注ぐようになりました。これまでは、西海岸の温かい地域に本拠地を構える球団、高地に造られた球場に行くとホームランが出やすいと言われてきました。そういう地域差をなくすためです」(米国人ライター)

 公式球を変更した理由は、本塁打量産の現状に歯止めを掛けるため。走塁を絡めたスリリングな展開を増やし、野球ファンの減少も止めたかったそうだ。

「これだけ、投手記録が続くと、新・公式球について議論されるのは必至」(前出・同)

 ターンブルがノーヒットノーランを達成した日、二刀流・大谷翔平は本塁王争いで両リーグトップとなる14号アーチを放った。「飛ばない新・公式球」など気に掛けていないようだが、ドジャース・筒香嘉智がいまだ本塁打ゼロなのは、その影響かもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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