令和の怪物・佐々木朗希投手がついに一軍デビューした(5月16日)。勝ち星は挙げられなかったが、大器の片鱗を十分に伺わせてくれた。しかし、課題も見えてきた。クイックモーションが全くと言っていいほどできていなかった。多くのプロ野球解説者も「今後の課題」として挙げていたが、完全に解消されることはないようだ。
「千葉ロッテの首脳陣も、佐々木の弱点としてクイックモーションを挙げていました。対戦した埼玉西武も同様です。二軍首脳陣から報告を受け、対策を講じていたようです」(スポーツ紙記者)
佐々木は5つの二盗を許している。左膝を胸の前まで挙げる大きな投球モーションが狙われたわけだが、今後の調整メニューの最重要課題ではないという。
「剛速球の源が、あの足を高く上げる大きな動作にあるんです」(球界関係者)
単に勢いをつけるため、高く上げているのではないという。右足に全体重を乗せ、左足の内腿にパワーを蓄えたまま前方移動する。その左足を着地させる前にもう一度ふくらはぎ部分を上げている。着地まで時間を掛けた分、左足の内腿に溜めておいたパワーと右足に乗せていた体重が増し、ボールに伝わっているのだそうだ。
「クイックモーションも覚えなければなりません。千葉ロッテの首脳陣も教えていくつもりですが、それは長所をなくすことにもなりかねません。ある程度までできるようになったら、そこでクイックモーションの指導は終了かも」(同前)
プロ野球投手がクイックモーションで「ボールをリリースするまでに要する時間」は、1・3秒以下。佐々木は1・3秒台。この0・1秒が、盗塁で一歩以上の違いを作るそうだ。もっとも、クイックモーションでの時間短縮を意識すれば、球速を喪失してしまう。
初登板のパートナーは、吉田裕太捕手だった。強打の強肩捕手ではあるが、クイックモーションの弱点を補ってやることはできなかった。強肩・吉田でも防げなかったということは、当面は足の速い打者を塁に出さない配球に努めていくしかない。次回登板は、配球に長けた捕手がスタメンマスクをかぶるのだろうか。ロッテ首脳陣は“パートナー選び”で頭を抱えそうだ。
(スポーツライター・飯山満)