ベテラン福留が”救世主”に見えてきた中日貧打線の内幕

 ベテランが打線改造のカギを握りそうだ。チーム打率2割1分5厘、総本塁打数3は、ともにリーグワースト(15日時点)。4月14日の巨人戦では、今月44歳になる福留孝介を「2番右翼」で使う攻撃的打順を組んだが、惨敗。4番A・マルティネスの一発による1点しかもぎ取れなかった。

「打線が機能しない弱点はオープン戦の時から指摘されていました。ペナントレースが始まっても主力選手の調子が上がってこないのが敗因です」(名古屋在住記者)

 打線の低迷ぶりは今に始まった話ではない。昨季も総本塁打数70、チーム総得点429は12球団ワースト。春季キャンプにOB・立浪和義氏を臨時コーチに招くなど若手の底上げにつとめたが、効果は出ていない。しかし、首脳陣にも不振の原因はある。

「開幕戦のような試合展開を目指していたはず。中日首脳陣が着目していたのはチーム打率や本塁打数ではなく、『盗塁』でした。昨年の盗塁数は僅か33(リーグ5位)。走れる選手もいるので、機動力を使って相手チームにプレッシャーを掛けていく野球を目指していましたが」(同前)

 開幕戦は4点ビハインドをひっくり返しての逆転勝利だった。反撃のきっかけを作ったのは福留。代打出場し、四球を選んで代走・高松渡内野手が盗塁を決め、広島バッテリーを揺さぶってみせた。

 14日までの中日の盗塁数は10。リーグ4位で多いとも少ないとも言えない中途半端な状態となっており、たとえ盗塁を決めても、「あと1本」が出ないという悪循環が続いている。

「福留の起用法が定まらないのも敗因です。試合終盤、走者をためた場面で代打登場すれば怖いし、スタメンを起用するのなら、つなぎ役なのか、走者を返すクリーンアップ的な役割なのか、はっきり決めたほうがいい」(プロ野球解説者)

 阪神を解雇された屈辱もあってか、今季の福留は体調も良い。根尾昂など他の外野出場選手の状態や対戦投手との相性を見ながらの起用となりそうだ。

「福留はたとえ凡打になっても、走者を進める右方向へのバッティングをしてくれます。そういうスタイルを若手が学んでくれたら」(同前)

 やみくもに打ち返すだけとは言わないが、外国人選手に長く4番を託してきた打撃編成も、今日の低迷につながっているようだ。「福留を見て勉強する」のが手っ取り早い気もするが…。

(スポーツライター・飯山満)

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