小泉環境相、処理水海洋放出の正当性を説いて揶揄された過去の「全否定」

 小泉進次郎環境相が4月13日、東京電力福島第1原発で保管されている放射性物質トリチウムを含む処理水の安全性を強調した。風評を抑制したいと意気込んでいたが…。

 政府は同日、処理水を海洋放出する方針を決定。これを受けて、閣議後の記者会見で小泉氏は「透明性、客観性を最大限重視した(トリチウムの)モニタリングを実施し、結果を公表することで風評の抑制につなげていきたい」と述べた。また、トリチウムは各国が規制基準を順守しながら放出しているとし、「あたかも福島第1原発だけが放出するかのような誤った認識が広がることこそが一番よくない」と警鐘を鳴らした。

 同日更新のブログでも、小泉氏は改めてトリチウムを含む処理水の海洋放出の正当性を啓蒙。「福島の復興のために環境省の責任を果たしてまいります」と決意表明した。

 小泉氏の発言を見ると、処理水の海洋放出は特に問題はないと思えるが、環境相に就任当時の発言と少し違うような気もする。

「小泉氏の前任、原田義昭前環境相は19年9月10日、退任直前の記者会見でトリチウムを含む処理水について『思いきって放出して希釈するしかない方法がない』と発言。これを受けて小泉氏は環境相に就任した9月11日、『福島の皆さんの気持ちをこれ以上傷つけないような議論の進め方をしないといけない』と述べ、翌12日の記者会見では〝原田氏の発言は個人的なものなので海洋放出は国の方針ではない〟と全否定していました。政府の決定とはいえ、今になって処理水の海洋放出を肯定する発言をするのはかなりの違和感を覚えます」(週刊誌記者)

 国民が納得する説明をお願いしたいものだ。

(石田英明)

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