コロナ禍で通常どおりの営業ができずに涙を飲んでいる飲食業界を見てみれば─。
東京都は緊急事態宣言の発令に伴い、営業時間短縮などの要請に応じた飲食店に協力金を支給。その額は1日1店舗あたり6万円。1月8日から3月7日までの約2カ月分だけでも354万円となる。
都内で居酒屋を経営する店主を訪ねると、こんな話を切り出した。
「1月分の186万円については2月22日の受付開始日に申請しました。ところが3月下旬になっても、いっこうに指定口座に振り込まれない。去年の協力金は割と入金が早かったこともあって、不安を感じていたら、いきなり知らない番号から着信があったんです」
ディスプレイには電話帳に登録されていない携帯番号が表示されていたが、電話の主は「協力金サポート事務所のスタッフ」を名乗った上で、
「書類に不備があるので書き直してほしい」
「指定の私書箱に住民票、免許証のコピーを添えて郵送してほしい」
と、一方的に告げてきたという。
「電話の男は『とにかく急いでほしい』と繰り返していました。修正が間に合わないと申請が通らないと言うんです。協力金がパーになったら一大事。そりゃあ、焦りましたよ。そこで家内に『おい、急いで住民票を取ってきて』と頼んで事情を話したら、『それ詐欺じゃない?』って。確かに役所の人間が携帯でかけてくるのはおかしい。そう思って男の携帯にかけ直しても、電源が切れているようで、ずっとつながりません」(居酒屋店主)
協力金の額が莫大なら、詐欺グループが狙いを定めるのは当然だろう。居酒屋店主の住民票を集めてどうするのかは謎だが、
「市区町村から個人宛にお知らせが届くことはあっても、電話やメールで個人情報を求めることはありませんので注意してください」(国民生活センター・広報)
気の緩みがコロナ便乗犯をのさばらせることを肝に銘じてほしい。
*「週刊アサヒ芸能」4月15日号より