かつては世界有数の電気街として知られた東京・秋葉原。アニメグッズやゲームセンターの聖地として、またメイドカフェ発祥の地として、常にオタク文化の象徴であり続けた。そんな秋葉原が今、大きく変貌を遂げようとしているという。秋葉原に詳しい情報誌記者が語る。
「電気街全盛期のアキバには、PC、家電をはじめ、コンデンサや抵抗器など、電子機器なら何でも手に入った。店員も客もマニアックな知識を持っていて、あちこちの店で一般の人には理解できない侃々諤々のやり取りが見られたものです。ところが、豊富な品揃えを誇る通販サイトの台頭で、ユーザーがいちいちアキバに足を運ぶ必要がなくなってしまった。結果、昔ながらの小さな電気店がひしめく『裏通り』の店舗が次々に閉店してしまったというわけです」
小規模な電気店が撤退した空きテナントに入居して存在感を放ったのが「メイドカフェ」だった。
「メイドカフェが増え始めたのは2010年頃からですが、やがて、密着したサービスが楽しめる『耳かき店』が登場。それが進化し、表向きは『女子生徒による添い寝やマッサージ』と謳っているものの、実は性的サービスありの、“非合法リフレ”に姿を変えていくことになるんです」(前出・情報誌記者)
顧客の欲望が渦巻くところにビジネスチャンスあり。需要が増えれば、当然、同様のサービスを行う競合店が周囲にひしめくこととなる。
「実は昨年、有名な洋食レストランがあった場所にピンク系の『無料相談所』ができたんですが、その洋食店はアキバファンが買い物帰りに小腹を満たす店としても知られていました。その“跡地”に案内所ができたわけですからね。オタクたちの間でも『これでアキバも完全に終わったな』という声がしきりだったと言われています」(同ウォッチャー)
そんな中、今、秋葉原で増殖中と言われるのが「コンセプトカフェ」(通称コンカフェ)と呼ばれる形態の店で、基本はメイドカフェ同様だが、「巫女」「騎士」「妖精」「病院」「忍者」など、一風変わったコンセプトのもとで女性スタッフが接客。なかにはきわどいサービスを行う店も増えているという。
「カフェを謳っていながら、キャストと1対1で話せるVIP席で、おさわり系のサービスを提供するヤバい店もあるようですからね。ごく一部ですが、濃厚接触など気にしないという店もあり、女の子もチップほしさに何でもアリの状態だとか。また、緊急事態宣言もあり、銀座や新橋の接客店が苦戦を強いられる一方、比較的テナントの賃料が安い秋葉原にピンク系クラブのチェーンやホストクラブが進出しているという話もあります。メインの客層は、趣味に多くの金をつぎ込める独身男性。金払いもいいそうですから、アキバのピンク化に拍車がかかりそうです」
古き良き時代の秋葉原を知る者にとっては、足を踏み入れにくい“危険な街”になりつつあるのかもしれない。
(灯倫太郎)