東京五輪の聖火台は、どうなってしまうのか!? 今、各スポーツ協会・連盟のなかからもそんな不安の声が挙がっている。
「聖火台への点火シーンは開会式の演出上、重要だからまだ明かせないというのが組織委員会の姿勢です。でも、どこに設置され、どんな内容になるのか、大まかに教えてくれてもよさそうなものですが」(体育協会詰め記者)
厳密にいうと、昨年12月に行われたオリンピック・パラリンピックの調整会議で、期間中は聖火台を2カ所に設置する方針を発表済み。1つは新国立競技場に、もう1つは東京湾臨海部のお台場と有明を結ぶ「夢の大橋」周辺に置かれるという。しかし、聖火ランナーがどこにゴールし、点火シーンの舞台がどこになるのかは「明かせない」とのこと。
ここまで“非公開”の状態が続くと、「本当はまだ何も決まっていないんじゃないか。いや、新国立競技場とその周辺に何か問題があって、決められないのではないか?」と勘繰る声が出てきても当然だろう。
「そもそも新国立競技場を巡っては、当初採用されたザハ・ハディド氏の設計が総工費が高すぎるとしてコンペを再募集。そこで気付けばよかったんですが、新しいデザインが決定した後に『聖火台がない』と判明したんです。建築家の隈研吾氏が設計した新国立競技場は木材を大量に使うので、場内に聖火台を常設するのはいろいろと問題があるようです」(同前)
開会式の目玉とも言うべき点火シーンが「競技場の外」で行われるとなれば、周辺の警備も必要となってくる。そうした安全上の問題もあって、ギリギリまで情報を伏せておこうとしているのかもしれない。
しかし、こんな皮肉も聞かれるのだ。
「聖火台のデザインについても、何も発表されてません。であれば、1964年の東京五輪で使用した聖火台を使えばいいのでは。旧国立競技場の聖火台は震災復興の目的で福島などの被災地に貸し出されており、今後は新国立競技場の展示ルームで公開されますが、きちんと修復も行われています。だったらそれを使えばいいでしょう」(競技関係者)
また、点火役が誰になるのかも、いろんな説が出ている。情報を封印することで、「どんな演出をするのか」と逆に関心を煽っているが、この点火役にしても相応の著名人を任命しなければ、世界に示しがつかないだろう。
五輪組織委員会は秘密主義でハードルを上げ、自らの首を絞めていることに気付いていないようだ。
(スポーツライター・飯山満)