LCCの大きな特徴のひとつが預け荷物が有料になっている点。重要な収入源でもあるため、無料で機内に持ち込める手回り品には厳しい重量制限が設けられている。
一般的には上限7キロ、ないし10キロに設定。国内LCCのジェットスタージャパンやピーチは7キロとなっている。だが、海外では最近この規則を従来よりも厳しい内容に変更する会社が増えている。
北欧を代表するLCCのノルウェーエアシャトルは2020年1月、無料で機内に持ち込める荷物を小さなバッグ1個のみに制限。2つ目の手荷物がある場合はもちろんだが、たとえ荷物が1つでも一番安い運賃プランでは座席上の収納スペースを使用することができなくなってしまった。
11月に導入した欧州LCCシェア1位のライアンエアでも2つ目の手荷物を機内に持ち込む際には6ユーロ(約750円)の手数料が必要に。ほかにも英国の大手LCCイージージェットでも2021年2月から最安運賃プランでは2つ目の荷物を機内に持ち込めなくなるという。
利用者の間では「改悪だ」とブーイングが起きているが、「少しでも収益性を上げるために以前から機内持ち込み荷物の有料化の話はあった。今後のLCCのトレンドになる可能性が高い」と指摘するのは航空ジャーナリスト。
特に現在はコロナ禍で業界全体が危機に瀕しており、フラッグ・キャリアと違って国や公的機関からの支援を受けられないLCCは次々と倒産。この流れは当分避けられそうにない。
「日本では機内持ち込み荷物の有料化の話はありませんが、航空会社にとっては確実に収益アップが見込めます。苦しい経営を強いられている現状を考えれば、いつ導入されてもおかしくない状況です」
ほぼ手ぶらの移動なら問題ないが、そんな人はほとんどいないだろう。旅行や帰省で小さな手荷物1つにおさめるのは不可能に近い。できることなら国内線や日本に就航するLCC各社には導入を見送ってほしいものだ。
(高島昌俊)