コロナ禍では需要が激減したこともあり、世界的に値崩れを起こしていた航空券。しかし、各国の入国規制が緩和・解除となったことで乗客数はV字回復を遂げ、それに伴い一気に価格も上昇。それも原油高や円安、ロシア・ウクライナ戦争の影響もあり、欧米への渡航には往復の燃油サーチャージだけで約10万円もかかる記録的な高騰となった。そのため、予算オーバーで海外旅行を断念せざるを得なかった人も多いだろう。
ところが、ここに来て航空券の相場は大きく下落。LCC(格安航空会社)ではない機内食などが付いたフラッグキャリアのエアラインも段階的に価格が引き下げられ、需要喚起の大規模な割引キャンペーンを行うところも多い。日本でも国内線限定ながら、JALが一律6600円、ANAが平日7000円のセール運賃で販売したのは記憶に新しいはずだ。
記者は7月半ば、ひと足早い夏休みでマレーシアのクアラルンプールを訪れたが、新千歳発のキャセイパシフィックのビジネスクラスで往復14万3150円。香港での乗り継ぎがあり、外資系旅行サイトからの購入だったが、調べたら同時期の東京発もほぼ同額。しかも、座席はフルフラットシートだった。
航空券一斉検索サイトの「スカイスキャナー」を使って東京発のエコノミーで調べたところ、出発日にもよるが9月以降ならLCC以外でも東南アジアなら往復5万円台から、北米は9万円台から、ヨーロッパも10万円台からと思った以上に安い。お盆休み期間はさすがに倍近い価格だったが、シルバーウイークや年末はまだそこまで値上がりしていない。いずれも海外の航空会社を利用し、行き先が欧米の場合は乗り継ぎ便になるが、それを考慮しても十分に魅力的な値段だ。
ちなみにエアライン別で航空券が安いのは、中国東方航空や中国国際航空などの中華系、ベトナム航空やフィリピン航空。ほかにも記者が利用したキャセイパシフィックをはじめ、韓国のアシアナ航空や台湾のチャイナエアラインなども比較的安く設定されている。
また、利用する航空会社によっては、JALやANAのマイルが貯まることも。やり方次第ではまだいくらでも安く海外に行く方法はあるのだ。
(高島昌俊)