「ファッションセンターしまむら」を運営する「しまむら」が先ごろ、2019年2月期連結決算を発表したのだが、売上高が前期比3.4%減、営業利益が40.7%減、純利益が46.2%減と大幅に失速していることが明らかになった。
北島常好社長はこの事態について、「2018年の天候不順」と「“65th誕生祭”などでの過度なセール企画が仇になった」と説明したが、果たして本当にそうなのだろうか。
「しまむらがマイナスに転じたことは、ファストファッションの終焉を象徴しているとも言えます。しまむらだけではなく、ユニクロの廉価ブランドである『GU』の業績も最近は冴えず、GAPの廉価ブランド『Old Navy』は日本撤退、ファストファッションブームの火付け役となった『H&M』銀座店も昨年閉店するなど、安さにこだわればこだわるほど、苦戦する状況が続いているのです」(ファッション誌編集者)
その理由は何か。最近は「メルカリ」や「ラクマ」などのフリマアプリで古着でも上質な商品を安く手に入れられるようになり、安さによって質が落ちる新品を選ぶ若者が減ったという指摘もある。
一方、「しまむらに関しては“ユニクロ化”していることが失速の原因だと考えています」と語るのは経済評論家だ。
「以前のしまむらは、様々な衣料品を“売り切り”で販売していました。そのため、ある店舗に置いてある商品が別の店舗にはないという現象がたびたび起こり、掘り出し物を探す『#しまパト(しまむらパトロール)』がSNSでも話題を集めていたほどです。しかし最近では、ユニクロのようにベーシックな商品を常時取り揃えるようになり、これが魅力を半減させ他店へ客が流れてしまっているとも言えます」
“安いのは当たり前”の苦しい状況は今後も続きそうだ。
(小林洋三)