プロ野球は約3カ月遅れの開幕となったが、フタを開ければ大きな盛り上がりを見せている。そんななかで、シーズン序盤から季節外れの「秋風」にさらされているのは阪神だ。
7月2日の中日戦では、低迷する内情を象徴するようなシーンもあった。2点をリードされながらも9回一死一、二塁のチャンスを作った場面。ここで上本博紀(34)に一発が出れば、起死回生の逆転につながる。しかし、球団関係者からは次のような嘆き節が。
「なんと控えメンバー数人が『ワッハッハ』と声を出しながら笑い合っていたのです。しかもテレビ中継にも映し出されてしまった。さらに驚きなのは、それをベンチで誰も注意しようとすらしなかったことです。結局、上本は併殺打に倒れ、最悪の形でゲームセットとなりました。もう全体が闘争心そのものを失っているとしか思えない」
この日の試合後、矢野燿大監督(51)が「起爆剤も現状ない」と弱音を漏らしたのもうなずけるところだ。本来はその「起爆剤」だったはずの新助っ人2人がそろいもそろって不発。まずはボーア(32)から。開幕2戦目を最後に早々と新4番失格の烙印を押され、低空飛行から抜け出せない。
阪神が2年越しで獲得に動いていた現役メジャーリーガー。開幕前は「バースの再来」とまで持ち上げられるも、今や“外れ助っ人”と揶揄される始末である。
開幕から18打席連続の無安打は球団新助っ人のワースト記録。開幕11試合目にして苦手の左腕から来日1号をようやく放ったが、「対左となると、基本的には草野球レベル。どこが『バースの再来』なのか!?」(セ球団スコアラー)とまで嘲笑されているのだから情けない。
同じくMLB経験者のサンズ(32)も苦しんでいる。開幕は2軍スタート。昇格早々のDeNA戦こそ相手守護神・山崎康晃(27)から起死回生の逆転3ランを放ったが、その後は鳴かず飛ばず。
ただし、新助っ人2人については「矢野監督の責任が大きい」との指摘も実は少なくないのだ。
「ボーアは新主砲として開幕戦から大役を任せておきながら、いくらなんでも見切りが早すぎた。サンズに対して開幕前の時点であっさりと2軍行きを命じたのも、かなり乱暴なやり方です。コロナ禍で多くの選手が難しい調整を強いられる中、異国の地でメンタル面のハンディを背負っていることを矢野監督は理解していない。結果として、その我慢のなさが2人の新助っ人を余計に焦らせ、心まで腐らせてしまった。両者の獲得に尽力した駐米スカウトでチームOBのアンディ・シーツ氏も『NPBにアジャスト(順応)させる猶予も与えず、何のケアもしていない』と激怒していると聞いている」(阪神OB)
矢野監督の「迷采配」には批判が集中している。2年連続でゴールデングラブ賞に輝いた正捕手・梅野隆太郎(29)を開幕スタメンで起用しながら、続く2、3戦目はそれぞれ原口文仁(28)、坂本誠志郎(26)に先発マスクをかぶらせた。この球団史上初の「開幕カード・日替わり捕手先発起用」もしかり。開幕2戦目では2点を追う7回から2番手としてドラフト6位ルーキー・小川一平(23)をマウンドに送ったが、5失点で傷口を広げてあえなく降板。奇をてらいすぎたあげく、ことごとく外しているのだ。
「矢野監督は目の下にクマができ、ここ最近は何やらブツブツと独り言を口にすることも多い。ある日のナイター前には『監督が壁に向かって〝今日は大丈夫だよな〟と話しかけている姿を見た』と証言する選手もいるほど。とにかく精神状態が不安定になりつつあるのは間違いないでしょう」(チーム関係者)
この歴史的な開幕大失速によって、早くも矢野監督には途中休養説が飛び出し、何やらキナ臭いムードが漂っているのだ。
「このままチームを立て直さなければ、今季は90敗ペース。責任感の強い矢野監督から休養を申し入れ、事実上の辞任劇へと結びつく可能性は十分ある。そういう事態を想定し、球団幹部の間では来季からの監督候補が挙がっています。筆頭は優勝経験もある岡田彰布氏(62)の再登板ですが、現状を立て直すには故・星野仙一氏を招聘した時のような劇薬も考えなければならない。そこで、落合博満氏(66)、ヘッドコーチ候補に森繁和氏(65)の二枚看板という仰天プランまで急浮上しているそうです」(球界関係者)
皮肉にも、弱ければ弱いほどグラウンド内外で大きな注目を浴びてしまう阪神に開幕早々、お家騒動ボッ発か。
※山崎康晃の「崎」は正しくは「立さき」