取扱個数は年間43億!宅配便「再配達率」の半減がもたらした意外な恩恵とは?

 国土交通省が公表したデータによると、宅配便の取扱個数は年間43億個を突破していたという。これは2018年度の数字なので、今年はそれを上回る膨大な数の荷物が運ばれているはずだ。これだけ大きい数字だと、再配達の多さがいかに大きな社会問題になっているかもわかろうというもの。ところが6月26日に国交省が発表した4月の宅配便再配達率は大きく減少、このところ概ね15〜17%ほどで推移していたものが8.5%と半減に近い数字となったという。

「前年の4月は16%。再配達率の高さはそのままCO2排出量の増加につながり、ただでさえドライバー不足に悩む宅配業者に、コストとしてそのまま経営にのしかかります。従って国交省でもなんとか数字を下げたいと、17年度の16%を20年度には13%まで減らそうと様々な政策をとってきましたが、実際はなかなか下がらない現実に頭を悩ませていました」(流通事情に詳しいジャーナリスト)

 ところがコロナで一気に改善された。もちろん大きな理由は外出自粛や在宅勤務で自宅にいる時間が増えたからだが、宅配ボックスの活用、コンビニ受け取り、置き配など受け取り方を工夫したことも一因としてあるだろう。それもまた、コロナによって接触しない受け取り方を試行錯誤したひとつの成果でもある。例えばヤマトは4月の宅配便取扱個数が前年同月比13.2%増となっているのだから、いかに高い受取率だったかがわかる。まさに“コロナ効果”だ。

 いわゆる「巣ごもり」がもたらした好影響の成果と言えるが、他の事情も手伝ったようだ。

「対コロナの最前線で戦う医療従事者へ感謝する雰囲気が醸造されたのと同様、コロナで需要が増えてマスクを着けて大変なのに街中を駆け回る配達員にも感謝するという雰囲気が生まれたことも大きいと思います。再配達は申し訳ないので、配達予定時間に在宅を心がける人が増えたのです。3.11の時も荷物の取扱量が一気に増えたために現場はパンク寸前だったようですが、今回はそういった話は聞いていませんね」(前出・ジャーナリスト)

 コロナがもたらした数少ない“恩恵”のひとつかもしれない。

(猫間滋)

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