「コロナ対策」「非接触」で配達サービスの概念を変えた「置き配」事情

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、”玄関前”や”自転車のカゴ”など指定した置き場所に荷物を配達する「置き配」の普及が急速に進んでいる。そもそも置き配は不在時に荷物を受け取るためのサービスだったが、サイン不要で配達員と接触しないで済むことから、在宅中でも利用する人も増えているという。

「アマゾンジャパンは、新型コロナの影響で3月23日から置き配の対応エリアを30都道府県に拡大し、サイトでの配送方法の初期設定を“置き配”としました。つまり今はアマゾンで配送方法をいじらずに注文すると玄関先に荷物が置かれることになるので、知らずに注文して驚いた方も多いのではないでしょうか」(ITジャーナリスト)

 また、ヤマト運輸もインターホンで場所を伝えれば、サイン不要で手渡しすることなく荷物を置いてくれるサービスを3月からスタートさせており、飲食宅配のウーバーイーツや出前館、ドミノ・ピザ、ピザハットなどでも配達員と利用者が接触することなく商品の受け渡しができる置き配を取り入れるところが増えている。

「盗難や破損の恐れがあり、また“お客様ファースト”の意識が根強い日本で置き配は成功しないという見方も多くありましたが、新型コロナの影響で一気に広まる結果となりました。配達員に感染者が多く出れば物流がストップしてしまい、特に非常事態宣言が出された地域ではパニックが起こる可能性もあることを考えれば、客、配達員双方にとって好都合のシステムと言える。これを機に、置き配が当たり前という流れになるのでは」(前出・ITジャーナリスト)

 今回の新型コロナの大災厄は、あらゆる面で収束後の生活に変化をもたらすかもしれない。

(小林洋三)

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