都知事選「激闘」のウラで「吉村Tシャツ」がバカ売れ!「本人には1円も…」

 いよいよ7月5日の投開票に向けて待ったなしとなった東京都知事選。小池百合子現都知事の「新任投票」の意味合いも強まってきたが、ここにきて、「維新の会」が推薦する元熊本県副知事の小野泰輔氏とその支援にまわる吉村洋文大阪府知事の動きに注目が集まっている。府政関係者が言う。

「全国展開のキーワードとなるのは『有事に強い維新』。これから間違いなく訪れるであろうコロナの第2波、第3波を見据えて『大阪モデル』を全国に打ち出すことをもくろんでいます。現に今、維新が各地の地域政党と連携を取ろうとする動きが全国的に活発化している。コロナ対策の強みを生かした勢力拡大方針であるだけに、国内で最もコロナ被害の大きい東京で、小野氏の躍進に期待が集まるのも当然なんですよ」

 有権者の間での知名度はいまいちだが、小野氏の行政手腕は、地方自治の現場では高く評価されてきた。はたして、どのような経緯で、維新は首都・東京で小野氏と共闘するに至ったのか。言論サイト「アゴラ」編集長の新田哲史氏が解説する。

「維新は今年4月の目黒区長選で、東京の首長選では初めて党公認候補を擁立したのですが、ここで予想外に健闘。東京進出に手応えをつかんでいる状況なんです。そこで都知事選にも候補者を擁立しようとしたところ、小池さんが相手なのでなかなか出てくれる人が見つからなかった。ところが、たまたま柳ヶ瀬裕文参院議員の高校の同級生である小野氏が熊本の副知事を退任して、都知事選に出馬することになった。維新にとっては渡りに船となったでしょう」

 目黒区長選では、女性候補者が、生活者目線の政策を打ち出して善戦しただけに、今回の都知事選でも「ポストコロナ」をにらんだ都民救済案をぶち上げる、そのことで知名度不足をカバーする狙いだ。

「さらに選挙戦終盤には吉村知事が上京し、最後のお願いをすることで、一気に無党派層の取り込みをする腹づもりです」(政治部記者)

 すでに、維新の「全国展開」の布石は打たれているともっぱらだ。さるジャーナリストによれば、

「大阪では『吉村洋文Tシャツ』がバカ売れしています。道頓堀では緊急事態宣言明けから、吉村知事の顔写真をあしらったTシャツやマグカップ、缶バッジが販売されていて、これが大人気なんです。ネット販売にも全国の吉村ファンから注文が殺到し、ネットオークションではプレミア価格がつくほどの人気に。大阪のおもちゃメーカーが吉村知事の秘書を通じて、知事本人に許可を取って販売しているものなんですよ。吉村知事は特別に肖像権を放棄しているので、どれだけ売れても1円も懐に入ってこない。結果的に儲けるよりもイメージアップになることで『今後の全国展開に向けた作戦のひとつ』ではないかとの見方も強い。最近では女性誌でファッション特集が組まれるなど中高年の女性から熱烈な支持を集めるだけに、全国で『吉村Tシャツ』を着ている人を見かけるようになるのも時間の問題」

 コロナ対策で一躍、時の人となった吉村氏を前面に押し出した戦略が功を奏するか、どうか。

 新田氏もこう指摘する。

「松井一郎大阪市長ら維新の立ち上げメンバーはコテコテの大阪人丸出しの自分たちより、吉村さんを看板にしたほうが東京の人に受け入れられやすいという意識があるように見えます。世代交代による組織の安定化も狙いかもしれません。橋下さんほどではないにせよ、吉村さんも『全国区の洗練されたキャラ』になるポテンシャルを感じさせます」

 さらにささやかれるのがズバリ、国政への復帰である。15年12月に「橋下徹の後継者」として大阪市長となるまで衆院議員を務めていた吉村氏だが、

「今後、吉村さんの国政復帰があるとすれば、今年秋に住民投票が行われる大阪都構想と、2025年の大阪万博を成功させたあと。府知事を二期やって、維新が今より勢力を拡大している状況であれば、中央政界に打って出てくる可能性はありますね」(新田氏)

 今回の新型コロナウイルスに際し、吉村氏が「大阪モデル」で大きく株を上げた一方で、「東京アラート」の手法で有権者にアピールする小池氏のやり方は、今後のコロナウイルスの新規感染者数の増減によって大きく左右されることになりそうだ。そしてここにきて、小池都政の4年間は空白、とその成果を疑問視する発言が相次いでいる。都庁関係者が声を潜めて証言する。

「実は、小池さんはオリンピックの延期が決定した頃から、都政への興味をすっかり失っているんです。当然ながら、仮に来年に延期したところでオリンピックの開催が不可能であることも理解している。場合によっては今回の都知事選に出馬せず、元ヤフー社長の宮坂学副知事を後継者に指名する可能性も大いにあったんですよ」

 事実、再選しても任期途中で再び国政に転じる可能性を指摘する都庁関係者も多く、もはやその求心力は地に落ちていると言っていい。

「連日のコロナ会見で目立つことができるため、都知事の座を有効活用していますが、以前から総理大臣を目指していることに変わりはない。衆院解散間近と言われている国政の動向しだいでは、再選早々にも都政を放り出しかねません」(都庁関係者)

 そんな小池知事を巡り、衝撃的なエピソードがつづられた「ノンフィクション本」が注目を集めている。

 都庁関係者が続ける。

「都庁職員必読と大きな話題となっているのが、今年5月にノンフィクション作家の石井妙子氏が刊行した『女帝小池百合子』。ようやくテレビでも報じられるようになった小池さんの『学歴詐称疑惑』だけでなく、彼女の『ヤバすぎる素顔』の見本市のような内容。阪神・淡路大震災の被災者に『もうマニキュア塗り終わったから帰ってくれます?』と言い放ったエピソードや、拉致被害者家族との会合でバッグを見失い、『あったー、私のバッグ。拉致されたかと思った』と語ったという話など、ドン引きの連続です」

 関係者が愛想を尽かしても、有権者は「女帝」を支持するのだろうか。

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