緊急事態宣言の全国的な解除を受けて、東京も全業種において休業要請を緩和、街にはかつての活気が戻ってきた。しかし、かねてからの営業自粛によって収入の激減に見舞われ、死活問題に瀕している店舗が激増。経営者としてその苦難を味わってきた有名人たちの店舗はどうなっているのか。その現状に肉薄する!
「店は4月の頭までちょっと開けただけで5月、6月‥‥もう2カ月以上も閉鎖状態です。ギリギリまで我慢しているところですが、このままじゃコロナで倒れる前に自粛で店が飛んじゃうよ。現実はかなり笑えない状況で、今日も知り合いの有名シェフのレストランも店を閉めるって連絡が入ったところですよ」
まさに出会い頭の一発を浴びたように天を見上げるのは、元巨人の角盈男氏(63)だ。現在は恵比寿の昭和歌謡曲バー「m-129」のオーナーでもある角氏だが、マウンドで数々のピンチを切り抜けた左腕ストッパーでも、見えないコロナにはお手上げ状態だ。
「ウチはバーだから、東京都の区分ではキャバクラと同じ遊興施設に入る。ですからステップ3に進むまではお店を開けることができない。コロナ対策センターに連絡すると『自粛は強制ではありません』と説明されたけど、実際に店を開けたところで、お客さんだってなかなか来られないでしょう。この2カ月で店の売り上げは5万1000円だけ‥‥」
まさに打つ手なくマウンドで炎上中。しかも、頼みのブルペンからの支援もままならない状況なのだ。角氏が続けて嘆息する。
「新聞・テレビでは毎日、協力金、国の給付金とか報道しているけど、実際に届いたのはマスク2枚と都からの協力金10万円くらい。4月の持続化給付金の50万円はまだ入ってないし、5月分に関しては、これから申し込みの受付が始まると説明されました。いったいいつになったら入金されることやら‥‥。まともに協力して店を閉めているのがバカらしくなっちゃうよね」
先行きが見えない状況にこそ先立つカネが必要なのだが。しかし、11日夕方、小池百合子都知事(67)が「東京アラート」を解除、12日午前0時をもって「ステップ3」へ進むことが発表され、角氏のバーも再開できることになった。
「お店は消毒や空気の換気もできるのでコロナ対策は問題ないけど、急に決まったから、営業を再開できるのは15日からになります。店内が狭いからお客さんは入場制限していくしかないですね。しばらくは、常連さんなど予約のお客さんだけでやっていくことになるでしょう。もっとも、今さら休んだ期間分の売り上げを取り返すことはできないだろうけど」(角氏)
角氏のバーと同じく遊興施設にあたるのが、大田区・雪が谷大塚にある林寛子(60)のカラオケサロン「ラブリー寛寛」。店を直撃すると、店長が取材に応じてくれた。
「お客さんの安全を考えて、3月末から営業を自粛しています。早く開けてほしいという、お客さんからの問い合わせもあるんですが‥‥」
店に足しげく通う地元の常連客が残念そうに語る。
「この店こそ、元祖『会えるアイドル』の店。毎晩8時頃になるとオーナーの寛子ちゃんがステージに上がって『素敵なラブリーボーイ』など生歌を披露してくれるんだよ。入り口で靴を脱いで上がる、アットホームな感じも最高だね」
こちらも2カ月余にわたる自粛期間を終え、やっと解除の機会を迎えたが‥‥。
「今後は以前のようなミニライブで生歌を披露することはできなくなります。しばらくは本人の歌を撮影した映像ライブで楽しんでいただこうと考えています」(店長)
それでも秘蔵映像をアイドルと一緒に見られるならば、気分は「特別な男の子」となるに違いない。