ポストシーズンに強いヤツが、主役になりそうだ。ウイルス禍が鈍化傾向になったからか、アメリカではメジャーリーグのペナントレース開催について、前向きな声も多く聞かれるようになった。
「事態が大きく前進したのは、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏が『無観客になるだろうが、無収入よりいいはずだ。そうなれば、私はテレビ観戦したい』と公式にコメントしたことでした。6月キャンプ再開、7月開幕論にも現実味が増してきました」(米国人ライター)
7月にペナントレースが開催されるとなれば、試合数も自ずと減る。しかし、もっとも盛り上がるのは、ポストシーズン・マッチである。そのポストシーズン・マッチを確保し、盛り上がるために新たな試合法が出され、それがニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手にとって“大きなプラスになる”というのだ。
「メジャー30球団を5ブロックに分け、そのブロックごとの首位チームでポストシーズン・マッチをやるプランが提案されました。そのポストシーズン・マッチは11月、温暖な中立地区でやろう、と」(前出・米国人ライター)
仮称はジャイアント・プレーオフ。サッカーのワールドカップの予選をヒントにしたものだ。各ブロックの首位・6チームによる総当たり戦を4〜6試合やりたいという。そんなブロック突破チームにスポットが集まる変則のペナントレースが、なぜ田中にとって追い風になるかといえば、彼は「ポストシーズン・マッチにおいて、歴史的な強さ」を見せてきたからだ。昨年のPS(ポストシーズン)でア・リーグ優勝決定戦の初戦マウンドを任され、6回1安打無失点4奪三振と好投し、通算5勝目を挙げたのは記憶に新しいところ。通算防御率でも、PS7試合以上に登板した全投手のなかで歴代3位の1・32をマークしている。
ちなみに1位のドジャースのサンディー・コーファックスは1950年代から60年代に活躍し、同2位のクリスティ・マシューソンは20世紀初頭のピッチャー。つまり、田中はPSにもっとも強い現役投手でもあるのだ。
「田中は今季で7年契約が満了となります。PSでの活躍は通常のペナントレースでの成績よりもプラス査定も大きいので、田中が多額な年俸を勝ち取るかもしれません」(特派記者)
契約最終年を迎えた主力選手に対し、球団はシーズン中に延長契約を持ちかけることが多い。選手もシーズン中の怪我や不振で年俸額を落としたくないので、応じるケースが多い。だが、田中にとっては、PSの全日程を終えるまでサインをしないほうが良策のようだ。
(スポーツライター・飯山満)