お笑いコンビ・極楽とんぼの加藤浩次が5月8日放送の「スッキリ」(日本テレビ系)に出演し、新型コロナウイルスのPCR検査数だけで各国の対応を比較するべきではないと語っている。
現在、日本の医療現場では希望者全てにPCR検査を実施するのではなく、ある程度数を絞って急を要すると判断されたケースのみを検査対象とするスタンスを取っている。これについて、多方面から疑問の声が上がっており、アメリカやヨーロッパに比べて日本でのPCR検査数が少なすぎるのではないかと指摘されてきた。
しかし、加藤は「色んな報道を見て、不思議だなぁと思うのは、『米国ではこんだけPCR検査をやっています。なんで日本ではできないんだ』という論法に持っていきがち。米国やイタリア、ドイツ、欧州各国は日本より感染者数が多いが、日本はPCR検査の分母が少ないから少ない数しか出てこないという論理がある。それじゃあ、その考えを一旦置いといて、(新型コロナの)死者数を見ましょうよ。死者数を見たときに、日本は米国、イタリアより断然少ない。少ないのにもっとPCR検査をやった方が良いという論調はどうなんだろう。僕なんかは混乱してしまう」とコメント。欧米とは異なるPCR検査の実施基準を掲げる日本のやり方が、死者数を抑えることに一部奏功している可能性もあると示唆した。
続けて、PCR検査の数を比較しただけで「『日本はもうダメだ』とヒステリックに思うのは多分違うと思う」とし、一足早くコロナの終息に近づきつつあるとされる韓国や台湾を見習うべきとの声についても、「韓国が封じ込めているのは確かにそう。でも、そこは(政府が)強制力を持って(国民を)追跡できるということもあって、日本にはできないこともあるとわかっていないと、間違った発言になってしまうと思った」と主張している。
「加藤の指摘する通り、韓国では自主隔離を命じられた感染者が身勝手に外出をしないよう、GPSを駆使した監視システムを敢行しており、韓国国内からも人権侵害ではないかとの声が出ています。もちろんコロナ禍で国が破滅してしまう懸念と、プライバシーの侵害とを天秤にかけた上での判断なのでしょうが、このやり方を日本政府も見習うべきというのはさすがに無理があるといえます。また、欧米ではPCR検査数を可能な限り増やすことで正確な全体像を把握することが重要とされ、WHOのテドロス事務局長ですら『すべての国に言いたい。検査、検査、とにかく検査だ。少しでも疑いがあるケース全てをね』と3月中旬時点で主張しています。つまり、欧米とアジアの主要先進国はほぼ全て日本とは真逆のスタンスを取っていることになりますが、ではなぜ日本の死者数はそれらと比較して圧倒的に少ないのか?というのが加藤の疑問です。これについて真の正解は未だ存在しないのかもしれませんが、単に欧米と検査数を比較するだけの他の情報番組のコメンテーターとは一線を画す加藤の持論には、『ものすごく真っ当なご意見。同じ放送時間の、ひたすらPCR検査を増やせと連呼してるテレビ局とは大違い』『加藤を見直した。ちゃんと情報を得て整理してるし、自分の頭で考えてる』『呼吸器内科医です。加藤様、見直しました。その通りです』とネット上で絶賛の声が集まっています」(テレビ誌ライター)
また、日本がPCR検査の増加に消極的な理由のひとつとして、そもそも同検査の精度が100%とは言えない状況で、偽陰性の結果を言い渡される人間が増えてしまうという事情もある。これにより、実際は陽性であるにも関わらず、“陰性“だと通告された“偽陰性“の人間が油断して街中を歩き回ってしまうリスクも考えられ、闇雲に検査を増やすことはこうしたケースを増発する可能性もある。
もちろんPCR検査の対象を狭めることによるデメリットも存在する為、一概に何が正しいかを決めることは困難だが、日本も欧米も、最終目標はコロナの終息であり、可能な限り感染者や死者の数を抑えたいという想いは一致している。
他国を羨むばかりではなく、今こそ日本の英知の結集に期待するときなのかもしれない。
(木村慎吾)