「18兆円払え」“ウイルス発生国”の中国が訴訟まみれ!トランプも大激高

 アメリカのトランプ大統領がまたもや「中国責任論」を提起した。4月27日の記者会見で、「われわれは中国に不満だ」と述べたうえで、「ウイルスの発生源で(感染を)止めることができたはずだからだ」「素早く食い止められたはずだし、そうしていれば世界中に拡大しなかったはずだ」と激高して責任追及の構えを見せたのだった。

 新型コロナウイルスを巡り、世界で最も多くの死者を出したアメリカと「発生国」である中国が激しい火花を散らしている。

「我々は初期に(研究所を)見せてほしいと言ったが、中国政府は拒否した。何か問題が起きていることがわかっていて、見せたくなかったのだろう」

 4月中旬にも、トランプ大統領はこう言って新型コロナが中国の武漢市にある「武漢ウイルス研究所」から流出したとみて、調査に乗り出すことを明らかにした。

 これに対し中国は「実験室から流出したとする科学的根拠はない」と反論。「中国寄り」と批判を浴びるWHO(世界保健機関)も、研究所説を否定している。だが中国の疑惑については、さまざまな憶測が飛び交ってきた。

 米紙のワシントン・ポストとFOXニュース(いずれも電子版)は、「新型コロナウイルスは研究所のコウモリから所員に感染し、広まった可能性がある」と報じている。

 不信感は中国国内でも表面化。ネット上などで戦犯探しが始まるや、武漢ウイルス研究所の女性研究員・石正麗氏に疑惑の目が向けられることに。

「新型コロナはコウモリが持っているコロナウイルスが原因と考えられていますが、研究所では以前からコウモリのコロナウイルスについて研究が行われていました。そんな中、15年に国際医学誌『ネイチャー・メディシン』で、石氏が共同執筆という形で発表した研究論文が見つかったんです。同論文には、コウモリが持つウイルスにしてヒトの呼吸器細胞にも感染させることが可能なキメラ・ウイルス(遺伝子組み換えされたウイルス)を生成したと記されていた。それで人為的に作成していたものが流出したのではないかと、噂されているんです」(中国在住のライター)

 怪しむ声は石氏本人の耳にも届いているようで、2月2日にSNSの微信(ウィーチャット)で、

〈新型コロナウイルスは実験室と無関係であることを命がけで保障します〉

 と投稿して火消しに走っている。しかし、疑惑が鎮火することはなかった。4月にフランスでは、エイズウイルスを発見し、08年にノーベル生理学・医学賞を受賞した権威、リュック・モンタニエ博士が同国のメディアで、

「新型コロナは人為的なものであり、武漢ウイルス研究所から漏れた」

 と明言したことで、ますます疑惑は深まっているのだ。

 発生源の特定は中国の立場を揺るがす大問題だが、真相は明らかになるのだろうか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう解説する。

「偶然としてはできすぎた偶然で、武漢ウイルス研究所の石氏が疑われてもしかたがない。ただ、発生源を調べるために情報収集しようとしても、中国が新型コロナに関する論文や書類、研究所に関わっていた人物など、完全にアクセスできないように隠しているんです。出てきたら、それだけ困ることがあるのは確かですが、この先も中国が責任を認めることはありません。それをしたら、世界中から信用をなくし、国際政治においても立場を失ってしまう。だから、真実は絶対に出てこないんです」

 それでもトランプ政権の狙いは、必ずしも発生源を特定して、「犯人」の烙印を押したいだけではないという。

 前出の国際ジャーナリスト・山田氏が続ける。

「新型コロナが中国からアジア諸国に広がりだした1月半ばの段階で、アメリカの情報関係者は、武漢ウイルス研究所に興味を持っていました。そして、各国のジャーナリストに情報を流していきます。つまり、アメリカは発生源を明らかにするより、中国がいかにダメな国か世界中に知らしめることができればいい。すでに、アメリカのフロリダ州、テキサス州、ネバダ州、ミズーリ州では中国政府を相手どった訴訟が起きています。最終的には、アメリカ国内に中国が持っている資産や財産を凍結して、中国の活動の足止めをし、米中の覇権争いで有利にコトを運ぼうというわけです」

 5000人以上の感染者を出したミズーリ州の住民が中国の不十分な対応に関して起こした損害賠償の請求額は明らかにされていないが、「100億ドル規模」(外信部記者)との見方もある。また、最近になってドイツの由緒ある新聞が、経済的損失に関して、「中国がドイツに賠償金1650億ドル(約18兆円)を支払うべきだ」とする社説を掲載し、波紋を呼んだ。

 新型コロナウイルスと同様、「情報隠蔽疑惑」による“反中”の思いも全世界に拡散されつつある。

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