「最高ですか?」「最高で~す!」という信者同士の奇妙なほど息の合った掛け合い。そして、教祖は「汚い足の裏ですね~」などと述べて、信者に迫る。詐欺宗教集団「法の華三法行」が行ってきた所業だ。
前述の足裏診断なる鑑定で「このままではガンになる」などと脅し、病気を治すための「天行力」「法行力」を授かる研修参加費用など金をダマし取った容疑で、00年に教祖・福永法源氏らが逮捕された。起訴されていない分も含めて被害総額は1000億円にも上るという巨額詐欺事件だ。教祖や幹部の逮捕後、教団は破産し、宗教法人は解散。福永氏は懲役12年の実刑が確定して、服役した。
しかし、その後も団体は活動を続けており、現在は「第3救済慈喜徳会」を名乗っている。14年に出所した福永氏は翌年、都内で「復活祭」を開催。これに私は潜入している。500人はいようかという信者たちと福永氏が、大声で「最高ですか?」「最高で~す!」を連呼。体力の衰えか福永氏の足元はややおぼつかないが、口調は元気そのものだった。
「15年前、逮捕されました。そして、この15年を拘置所から刑務所までさまよったんですけども、今でも絶対に罪は認めません。だから長くかかったんですね。要領よく認めれば、もっとグッと前に出てこられたそうなんですが‥‥」
まるで福永氏の辞書には反省とか贖罪という言葉は載っていないかのようだった。
実際、16年には松田優や島田陽子といった有名俳優を起用して、みずからの半生を描いた映画「塀の中の神様」を製作。福永氏自身も出演するなど、巨額詐欺の主犯とは思えない行動を展開していた。ところが、この映画の製作発表会見やトークイベントに登場して以降、福永氏は公の場に姿を見せていない。もともと親交があったA氏が言う。
「出所後も彼に会ったが、体調がよくないようでした。そのせいか、映画の話が出て以降は連絡がありません。もともと法の華は福永氏のワンマン教団ではなく、福永氏も『やりたいことをやらせてもらえない』とこぼしていた。もしかしたら、現在の主力幹部らの意向で行動を制限されているのかもしれません」
福永氏は今年4月5日で75歳。仮に本人が引退しても、教祖が服役中も活動が続いていたのだから、団体は活動を続けていくことだろう。再び詐欺に走らないか要注意だ。
(ジャーナリスト・藤倉善郎)