従業員600人を「全員解雇」でもタクシー会社社長が称賛を集めた理由とは?

 4月7日、あるツイッターユーザーが発した「御仲間からまわってきました。ロイヤルリムジン全員解雇のお知らせ」というメッセージと共に「ロイヤルリムジングループ社員の皆様へ」というロイヤルリムジン代表取締役・金子健作氏の署名入り書面を掲載し、ネット上では驚きと称賛の声が相次いでいる。

 掲載された文面には、「混乱の中少しでも早く、皆様が円滑に失業手当をもらえるために決断した次第です。また、政府からの30万円の給付金もしかりです。タクシー事業の休業補償は歩合給と残業の給与体系のため、失業手当よりも不利なためこの選択をしました」と乗務員を解雇する理由を説明。「完全復旧した暁には、みんな全員にもう一度集まっていただき、今まで以上に良い会社を作っていきたいと思います」と復旧後の再雇用を約束している。

 これに東京都内でタクシー事業を展開する「ロイヤルリムジン」は8日、「解雇して雇用保険の失業給付を受ける方が、従業員にとってメリットが大きいと判断した」と、グループ会社のほぼ全従業員にあたる約600人を解雇することを認め、「感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる」と改めて説明している。

「ネット上では、その判断を称賛する声が多く上がっていますが、企業の業績悪化による一時解雇はレイオフと言われ、アメリカなどでよく見られる手法です。新型コロナ感染拡大によってラスベガスを中心に活動するサーカス集団『シルク・ドゥ・ソレイユ』も同様にスタッフの95%に対して一時解雇の形を取って話題になりました。レイオフは企業にも従業員にもウィンウィンに思えますが、当然、倒産のリスクもありますから、いち早く事態の収束を願うばかりです」(経済ジャーナリスト)

 今後はこうした判断を下す企業が増えてくるかもしれない。

(小林洋三)

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