「70人を教室に…」運転免許更新でクラスター危機!コロナ禍の欧米では…

 新型コロナウイルスの感染を防止する意識が高まるなか、こともあろうに公的機関が自ら、密閉・密集・密接という「3つの密」の環境を作り出しているという。この期に及んでもなお、全国の運転免許センターでは免許の更新に訪れる人の姿が絶えないというのだ。

「免許更新時に義務付けられる講習では相変わらず、狭い教室に押し込まれます。4月に入ってから講習を受けた知人によると、一部屋に70人以上の受講者が詰め込まれ、マスクをしていない人も何人かいたとか。これでは免許更新の場がクラスター化しても何ら不思議ではなく、運悪くこの時期に当たってしまった当事者たちからは《警察が感染防止を図らないのは異常事態だ!》《危機意識がなさすぎて恐ろしい…》《これで感染したら警察や国を訴えるレベル》との声が続出しています」(週刊誌記者)

 もちろん免許更新業務を司る警察のほうも無策ではない。該当者には地元の警察署で有効期限延長のスタンプを押すといった特例措置に加え、新型コロナが原因で運転免許が失効した場合には学科試験や実技試験を免除しての再取得が可能となっている。

 しかしこれらの対策があまり周知されておらず、免許更新の通知はがきだけはいつも通りに届くため、仕方なく運転免許センターを訪れるというのが現実だ。それでは日本以上に感染が拡大している欧米ではどうなっているのだろうか?

「アメリカでは新型コロナ対策としてほとんどの州で無条件での有効期限延長を認めており、たとえばイリノイ州では《感染災害が終了してから30日後まで有効》となっています。それに加えて多くの州では郵送による更新が制度化されており、新型コロナによる影響はごく軽微なのです」(海外在住歴を持つライター)

 そんなアメリカの例に対して、ヨーロッパではさらに影響は少ないという。そもそも免許更新の制度そのものが日本とは大きく異なっているというのだ。

「イギリスの免許更新では警察署や交通局に足を運ぶ必要はありません。10年ごとの更新では写真の更新だけが必要で、その手続きは郵便局で済ませることが可能。専用の機械で写真を撮影し、書類を記入して局員に渡すだけで済み、新しい運転免許証は後日郵送されてきます」(前出・ライター)

 これがフランスやドイツになるとまた、事情は大きく異なってくるという。同ライターが続ける。

「かつてはフランスの『パピエ・ローズ』(ピンクの紙)など、運転免許は一度取得したら生涯有効が普通でした。それが2013年にはEU加盟国で運転免許証が共通化され、現在はICチップの入ったカード型免許証への切り替えが進んでいます。ただ有効期限は15年と長く(一部の国では10年)、現行のカード型免許証に切り替えた人はまだ誰も更新時期を迎えていません。そのためヨーロッパでは新型コロナ禍のなかでも、タクシーやトラックの職業ドライバーを除けば運転免許の更新はさほど話題になっていないのが実情です」

 日本式の更新制度は、視力の衰えなどを反映しやすく、安全運転のためには効果が高いとの評価も少なくない。しかし世界的な新型コロナ禍のなかでは、当局にも柔軟な対応が求められてしかるべきではないだろうか。

(北野大知)

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